【初心者向け】マーケティング分析の基本!9つのフレームワークと注意点を解説
現代のビジネスにおいて、マーケティング分析は欠かせないツールとなっています。マーケティング分析とは、市場や顧客のニーズ、行動を調査し、データに基づいて戦略や施策を立案することです。これらを行うことで、競争力の高い製品やサービスを提供し、顧客満足度やロイヤルティを向上させることができます。また、効果的な広告やプロモーションを実施することで、コストを削減でき収益を増やすことにも貢献します。マーケティング分析を行うには、まず分析の基本的なフレームワークを覚えることが近道です。本記事では、9つの基本的なフレームワークをご紹介いたします。
「マーケティング」とは、商品やサービスを効果的に顧客に紹介し、需要を喚起し、売り上げを最大化する仕組みを構築する事です。マーケティング分析を行うことで、自社や市場、顧客などの状況を客観的に把握できます。これにより、マーケティング戦略をより効果的に策定・実行できるようになり、売上を増やすことが可能になります。
マーケティング分析が必要な理由
インターネットの普及により、消費者は情報収集や商品購入の方法を多様化させています。従来のマスメディアや対面販売が主流だった時代とは異なり、インターネットやSNSで情報を集め、自分自身で商品やサービスを比較検討して購入する消費者が増えています。
こうした変化に伴い、消費者のニーズも多様化しています。価格や機能に加え、ブランドやデザイン、口コミなども購買判断に影響を与える要素となっています。
多様化した消費者のニーズに対応するためには、マーケティング分析が不可欠です。マーケティング分析には、Webサイトのアクセス解析やアンケート調査など精度の高いデータの収集が重要です。これらの手法を用いて、消費者の属性や興味関心、購買行動を把握することで、より効果的なマーケティング施策を実施することができます。
今後も、市場環境はますます変化していくでしょう。こうした変化に対応するために、マーケティング分析は企業にとってますます重要になると考えられます。
マーケティング分析を行うメリットは多岐にわたりますが、その中でも主要な3つのメリットをご紹介します。
現状を客観的に見つめ直せる
マーケティング分析を行うことで、自社の製品やサービスの受け入れ度や市場でのポジショニング、競合他社との差別化ポイントなどを客観的に評価することができます。これにより、誤った仮説や主観的な意見に頼ることなく、事実に基づいたマーケティング戦略が可能となります。
新サービス・アイデアの気づきを得られる
自社のマーケティングを行うということは、自社の商品やサービスについて深く考えるということです。それによって、自社の強みや弱み、競合他社との差別化要素などを明確にすることができます。また、自社のターゲット層やニーズについても、より詳細に分析することができます。これらの情報は、新サービスやアイデアを考える際に非常に役立ちます。
自社のマーケティングを通じて、市場の動向や顧客の声に敏感になることができれば、新しい価値を提供する機会を見逃すことなく、イノベーションを起こすことができるでしょう。自社のマーケティングは、単に宣伝するだけではなく、創造するための重要なプロセスです。
PDCAサイクルを回しやすくなる
マーケティング施策の実施後、成功を測定し、持続的な改善を行うためにPDCAサイクルは不可欠です。その際、主観的な評価だけでなく客観的なデータを使用して成果を評価することが重要です。
例えば、ウェブサイトのトラフィック分析やアンケート調査を通じて、広告の効果やコンテンツの反応を評価し、改善します。このようなマーケティング分析を行うことにより、改善のポイントを明確にし、PDCAサイクルを効果的に回すことができます。
マーケティング分析には、さまざまなフレームワークが活用されています。
ここでは、マーケティング分析に役立つ9つの基本的なフレームワークをご紹介します。
3C分析
SWOT分析
PEST分析
STP分析
4P分析
5フォース分析
ファネル分析
RFM分析
バリューチェーン分析
3C分析
顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの観点から自社の強みや弱み、市場のニーズや動向、競合との差別化要因などを分析するフレームワークです。
顧客(Customer) |
顧客のニーズや行動、価値観などを分析します。 |
競合他社(Competitor) |
競合他社の強みや弱み、戦略などを分析します。 |
自社(Company) |
自社の強みや弱み、経営資源などを分析します。 |
SWOT分析
SWOT分析は自社の強みや弱み、市場環境の変化を把握し自社を取り巻く環境を分析するフレームワークです。内部要因である強みや弱み、外部要因である機会や脅威を把握することで、マーケティング戦略をより効果的に立案・実行することができます。
自社の戦略や施策を改善するためのフレームワークです。
内部要因 |
Strengths(強み) |
自社の優位性や強みです |
Weaknesses(弱み) |
自社の劣位性や弱みです。 |
外部要因 |
Opportunities(機会) |
自社にとって有利な環境です。 |
Threats(脅威) |
自社にとって不利な環境です。 |
PEST分析
PEST分析は市場環境を分析するフレームワークです。政治、経済、社会、技術の4つの視点から市場環境を把握することで、マーケティング戦略をより効果的に立案・実行することができます。
政治(Political) |
政治情勢や法規制、消費税率などの環境です。 |
経済(Economic) |
経済状況や景気動向などの環境です。 |
社会(Social) |
人口動態やライフスタイルなどの環境です。 |
技術(Technological) |
技術革新や新製品・新規サービスの登場などの環境です。 |
STP分析
STP分析はマーケティング戦略の立案や実行に欠かせないフレームワークです。セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの3つのプロセスを踏むことで、自社がどのような顧客層にどのような価値を提供すべきかを明確にすることができます。
セグメンテーション(Segmentation) |
市場を細分化して、ターゲットとなる顧客層を特定します。 |
地理的要因(地域、人口密度、気候など) |
人口統計学的要因(年齢、性別、職業、教育など) |
心理学的要因(価値観、ライフスタイル、パーソナリティなど) |
行動的要因(購買頻度、購買金額、使用頻度など) |
ターゲティング(Targeting)
|
特定した顧客層に対してマーケティング施策を実施します。 |
セグメントの魅力度 |
自社の強みや弱み |
競合他社の戦略 |
ポジショニング(Positioning) |
自社を競合他社と差別化したポジションを確立します。 |
自社の強みや特徴 |
顧客のニーズ |
競合他社の戦略 |
4P分析
4P分析はマーケティング施策を立案する際に用いられるフレームワークです。自社製品・サービスを「Product(製品・サービス)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(プロモーション)」の4つの視点から分析し、その強みやアピールポイントをマーケティング企画に活かします。4P分析の各要素は、以下のように定義されます。
Product(製品) |
商品やサービスの特徴や機能、品質などを検討します。 |
Price(価格) |
商品やサービスの最適な価格を決定します。 |
Place(流通) |
商品やサービスをどこで流通し、販売するかを検討します。 |
Promotion(プロモーション) |
商品やサービスをどのように宣伝するかを検討します。 |
4P分析を行うことで、自社製品・サービスの強みや弱みが見えてきます。また、競合他社と比較してどのような差別化ポイントがあるのか、顧客ニーズを満たすためにどのような施策が必要なのかを検討することができます。
5フォース分析
5フォース分析はマイケル・ポーターによって提唱された戦略的なフレームワークで、競争環境を評価するために使用されるツールです。この分析は、企業が競争環境を理解し、競争戦略を策定するのに役立ちます。
5フォース分析は以下の5つの競争要因を評価します。
業界内競合の脅威 |
業界内の競合企業の数や規模、製品やサービスの差別化の程度などによって、業界の収益性が左右されます。 |
買い手の交渉力 |
買い手が、価格や品質、サービスなどにおいて、売り手に交渉力を持っているかを評価します。買い手の交渉力が強い場合、業界の収益性は低下します。 |
売り手の交渉力 |
売り手が、原材料や部品などの供給によって、買い手に交渉力を持っているかを評価します。売り手の交渉力が強い場合、業界の収益性は低下します。 |
新規参入の脅威 |
新規企業が市場に参入しやすいかどうかを評価します。障壁が低ければ、新規参入者が増え、競争が激化する可能性が高まります。 |
代替品の脅威 |
自社の製品やサービスと代替可能な製品やサービスが存在すると、業界の収益性は低下する可能性があります。 また、代替品が魅力的であれば、企業は顧客を失う可能性が高まります。 |
ファネル分析
ファネル分析とは商品やサービスの認知から購買に至るまでの顧客の行動を漏斗(ファネル)に見立てて、各プロセスにおける離脱率を測定する分析手法です。
ファネル分析では、一般的に以下のようなフェーズに分けられます。
認知フェーズ |
商品やサービスに関する情報を初めて知るフェーズ |
興味・関心フェーズ |
商品やサービスについて興味や関心を持つフェーズ |
比較検討フェーズ |
商品やサービスについて比較検討するフェーズ |
購入フェーズ |
商品やサービスを実際に購入・登録などコンバージョンに至るフェーズ |
RFM分析
RFM分析とは、顧客の購買データをもとに以下の3つの指標を用いて顧客をグループ分けする分析手法です。
Recency(直近購入時期) |
過去の購入日から現在までの日数 |
Frequency(購入頻度) |
過去の購入回数 |
Monetary(購入金額) |
過去の購入金額の合計 |
例えば、Recencyが高いグループは最近購入した顧客であり、再購入の可能性が高いため、リピート購入を促す施策を講じることができます。Frequencyが高いグループは、頻繁に購入する顧客であり、LTV(顧客生涯価値)が高い顧客であるため、ロイヤルティを高める施策を講じることができます。Monetaryが高いグループは、高額な商品やサービスを購入する顧客であり、LTVが高い顧客であるため、アップセルやクロスセルの施策を講じることができます。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析とは、企業が製品やサービスを提供するまでの一連の活動を「主活動」と「支援活動」に分類し、それぞれの活動がどのような価値を生み出しているのかを分析する手法です。
主活動
製品やサービスの提供に直接的に関連する活動
・調達
・生産
・物流
・販売
・サービス
支援活動
主活動を支える活動
・技術開発
・人事・労務
・調達・購買
・輸送・ロジスティクス
・マーケティング・販売促進
・顧客サービス
マーケティングフレームワークは、マーケティングの課題や環境を整理し、戦略を立案する際に役立つツールですが、活用する際には注意が必要です。なぜなら、フレームワークはあくまで分析の手段であり、目的ではないからです。フレームワークに縛られすぎると、本質的な問題や機会を見逃してしまう可能性があります。
そこで、以下の3つのポイントに気を付けることをおすすめします。
1. 使用しているフレームワークよりふさわしいものはないか、検討する
2. 時代の流れに合わせた更新を行う
3. 複数の視点を統合し、柔軟性を持った運用をする
1.
使用しているフレームワークよりふさわしいものはないか、検討する
フレームワークはそれぞれに特徴や適用範囲があります。下に例を挙げます。
SWOT分析:自社の強みや弱みを明確にするのに有効ですが、外部環境の変化に対応するのには不十分です。
PEST分析:政治的、経済的、社会的、技術的な要因を考慮するのに適していますが、競合他社や顧客のニーズについては深く掘り下げることができません。
5フォース分析:業界内の競争状況を評価するのに役立ちますが、業界外の脅威や新規参入者に対処するのには限界があります。
4P分析:製品、価格、販売促進、流通というマーケティングミックスを整理するのに便利ですが、市場セグメンテーションやポジショニングという戦略的な視点を欠く場合があります。
使用しているフレームワークが自社の課題や目標に合っているかどうかを常に確認し、必要に応じて別のフレームワークを併用したり切り替えることが重要です。
2.
時代の流れに合わせた更新を行う
フレームワークはある時代や状況において有効なものでも、その後の変化によって陳腐化・無効化したり、新しいものに置き換わったりすることがあります。使用しているフレームワークが時代に合っているかどうかを常に検証し、必要に応じて新しいフレームワークを取り入れ改良していくことが必要です。
3.
複数の視点を統合し、柔軟性を持った運用をする
フレームワークは分析の枠組みを提供するものであり、分析の結果や戦略の答えを与えるものではありません。
フレームワークに沿ってデータや情報を整理することは大切ですが、それだけでは十分ではありません。フレームワークから得られた知見をどう活用するか、どう解釈するか、どう応用するかということが重要です。
また、フレームワークはあくまで一つの視点であり、他の視点や視座から見ることも必要です。例えば、自社の視点だけでなく、顧客の視点や競合他社の視点からも分析することが大切です。
フレームワークを使う際には、仕様に縛られずに柔軟に考えることや、戦略立案においても多角的に分析することが求められます。
マーケティング分析において重要な用語や考え方について紹介します。マーケティング分析は、製品やサービスの成功に不可欠であり、市場動向や競合状況を理解し、戦略を策定するために必要です。以下の用語や考え方は、マーケティング分析において役立つでしょう。
消費者の行動モデル「AIDMA」「AISAS」「AISARE」
消費者の欲求レベル「ニーズ」「ウォンツ」「インサイト」
顧客の人物像を描く「ペルソナ」
ビジネス成長のカギ「イノベーター理論」
マーケットの状況「ブルーオーシャン」「レッドオーシャン」
消費者の行動モデル「AIDMA」「AISAS」「AISARE」
消費者の行動モデルとは、商品やサービスを購入するまでのプロセスを表したものです。AIDMA、AISAS、AISAREは、それぞれ時代やメディアの変化に応じて提唱されたモデルです。
「AIDMA」モデルは、1920年代に提唱され、消費者の購買プロセスをAttention(認知)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の5つの段階に分けて説明しています。最初に広告や情報に注意を引く段階から、最終的に商品やサービスを購入する段階までをカバーします。
「AISAS」モデルは、AIDMAをインターネットが普及した時代に適用できるよう発展させたモデルで、Search(検索)とShare(共有)の2段階が追加されています。消費者は能動的に情報を探し、他社製品と比較検討し、納得した上で購入するという流れです。また、購入後にSNSなどで商品の情報を共有することも特徴です。
「AISARE」モデルは、Googleが提唱した比較的新しい消費者の行動モデルで、Repeat(リピート)とEvangelist(伝導者)を加えたものです。消費者は自分に関連性の高い情報に反応しやすく、また企業とのコミュニケーションや体験を通じて関与度を高めるという流れです。
消費者の欲求レベル「ニーズ」「ウォンツ」「インサイト」
マーケティングにおいて、消費者の欲求を理解することは非常に重要です。消費者の欲求を理解することで、消費者がどのような商品やサービスを必要としているのか、どのような価値を求めているのかを把握することができます。
消費者の欲求は、大きく分けて「ニーズ」「ウォンツ」「インサイト」の3つに分けられます。
ニーズ |
消費者自身が認識している基本的な欲求 |
ウォンツ |
ニーズを満たすための具体的な商品やサービスへの欲求 |
インサイト |
消費者自身がまだ自覚していない欲求 |
具体例として3つご紹介します。
■エコカーの市場の形成・拡大
ニーズ:消費者が移動するために必要なもの。例えば、安全性、燃費、コストなど。
ウォンツ:消費者が車を選ぶ際に考慮する具体的な要素。例えば、ブランド、デザイン、色、機能、環境配慮など。
インサイト:消費者が自覚していないが、車に対して持っている深層の欲求や感情。例えば、自己表現、ステータス、自由感など。
■環境配慮型住宅の市場の形成・拡大
ニーズ:消費者が住まいとして必要とするもの。例えば、居住空間、設備、立地など。
ウォンツ:消費者が家を選ぶ際に重視する具体的な要素。例えば、間取り、デザイン、価格など。
インサイト:消費者が自覚していないが、家に対して持っている深層の欲求や感情。例えば、安心感、居心地、自己実現など。
■今まであまり投資に積極的でなかった若年層や女性層の投資家の獲得
ニーズ:消費者が資産運用として必要とするもの。例えば、収益性、安全性、流動性など。
ウォンツ:消費者が投資商品を選ぶ際に考慮する具体的な要素。例えば、金利、手数料、期間など。
インサイト:消費者が自覚していないが、投資に対して持っている深層の欲求や感情。例えば、自信感、冒険心、社会貢献など。
顧客の人物像を描く「ペルソナ」
ペルソナとは、自社の製品やサービスを利用する典型的なユーザーを体現する仮想的な人物像です。ペルソナを設定することで、より具体的なユーザー像を描き、ユーザーの思考や行動傾向を分析し、施策を最適化することができます。
ペルソナを設定するには、以下の情報を収集・分析する必要があります。
人口統計情報:年齢、性別、居住地、職業など
心理的情報:価値観、ライフスタイル、興味関心など
行動情報:購買行動、使用行動、情報収集行動など
ペルソナを活用することで、より具体的なターゲティングが可能になり、広告やマーケティング施策の効果を高めることができます。
ビジネス成長のカギ「イノベーター理論」
イノベーター理論とは、スタンフォード大学のエベレット・M・ロジャーズ教授が1962年に提唱した、新しい製品やサービスが市場に普及していく過程を5つのグループに分類した理論です。5つのグループは以下になります。
イノベーター |
新しい製品やサービスをいち早く受け入れる層。全体の2.5%を占める。 |
アーリーアダプター |
新しい製品やサービスを積極的に受け入れる層。全体の13.5%を占める。 |
アーリーマジョリティ |
新しい製品やサービスを慎重に受け入れる層。全体の34%を占める。 |
レイトマジョリティ |
新しい製品やサービスを遅れて受け入れる層。全体の34%を占める。 |
ラガード |
新しい製品やサービスを最後まで受け入れない層。全体の16%を占める。 |
イノベーター理論の特徴は、以下の2つです。
新しい製品やサービスの普及は、S字カーブを描く:イノベーターからラガードまで、5つのグループに分類された消費者が、新しい製品やサービスを段階的に受け入れることで、市場に普及していきます。
イノベーターとアーリーアダプターが市場普及の鍵を握る:イノベーターとアーリーアダプターは、全体の16%を占めるだけでありますが、新しい製品やサービスの普及に大きな影響を与えます。
イノベーター理論において、イノベーターとアーリーアダプターが占める初期市場とマジョリティが占めるメインストリーム市場の間には大きな溝があります。この溝を超えることが、製品やサービスの普及に必要です。この溝の事を「キャズム」と呼びます。
■受け入れ層の溝「キャズム」
キャズムとは、新しい製品やサービスが普及する際に、初期の受け入れ層(イノベーターとアーリーアダプター)と後期の受け入れ層(アーリーマジョリティ以降)の間に生じる溝のことです。この溝はアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間にあります。
この二つの受け入れ層のグループは、新しい製品やサービスに対するニーズや期待が大きく異なります。
アーリーアダプターは、新しさや革新性を重視していますが、アーリーマジョリティは、安全性や利便性を重視しています。したがって、アーリーアダプターが採用した製品やサービスが、そのままアーリーマジョリティに受け入れられるとは限りません。
キャズムを超えるためには、製品やサービスのユーザビリティを高めたり、市場を狭く定義してニッチな顧客層をターゲットにする必要があります。また、アーリーアダプターからアーリーマジョリティへの推薦や口コミも重要です。
見込み客の行動を描く「カスタマージャーニー」
カスタマージャーニーは、顧客が商品やサービスを認知してから購入に至るまでの一連のプロセスを「顧客の旅」として可視化した概念です。顧客の行動・思考・感情を理解し、より良い顧客体験を提供するために活用されます。このプロセスでの顧客の行動や感情を時系列に並べて図示した「カスタマージャーニーマップ」というフレームワークでマーケティング施策の立案や改善に役立てられます。
カスタマージャーニーマップは一般的に以下の手順で作成します。 1 ペルソナを設定する 2 フレームワークを決める 3 情報収集する 4 情報をマップに落とし込む
以下にカスタマージャーニーの例を作成してみました。
ペルソナ |
・東京都在住の30代男性「山田さん」 ・会社員 ・趣味はスポーツ観戦 ・新しい家具を探している |
フェーズ |
タスク |
ストーリー |
認知 |
テレビでCMを見る |
テレビで新しい家具のCMを見て、山田さんは思わず食いついた。CMで紹介されていたソファは、山田さんの腰の痛みを軽減してくれる機能が搭載されていた。 |
興味関心 |
インターネットで情報収集する |
山田さんはすぐにインターネットで家具の情報を調べ、いくつかのメーカーや商品に目星をつけた。 |
比較検討 |
各メーカーや商品を比較する |
各メーカーのホームページやSNSを参考に、商品の機能や価格を比較検討した。 |
購入 |
購入を決定する |
山田さんはあるメーカーのソファを購入することを決意した。ソファはすぐに自宅に届き、早速設置した。 |
利用 |
ソファを設置し、使い心地を確かめる |
新しいソファは、山田さんの腰の痛みを軽減してくれ、仕事の疲れを癒してくれる最高の相棒となった。 |
評価 |
友人や家族に自慢する |
山田さんは、友人や家族に新しいソファを自慢し、みんなから「いいね!」の声をもらった。 |
このストーリーは、あくまで一例です。
カスタマージャーニーは、顧客の行動や感情を深く理解するために、実際に顧客にインタビューやアンケートを行うことで、より具体的に描き出すことができます。
マーケットの状況「ブルーオーシャン」「レッドオーシャン」
マーケットの状況は、大きく「ブルーオーシャン」と「レッドオーシャン」の2つに分けることができます。
ブルーオーシャンとは、まだ競争相手が少ない、または存在しない新しい市場や領域です。ブルーオーシャンでは、競争が激しく価格競争やコスト競争が起こるレッドオーシャンとは異なり、競争が少なく、高い利益率を上げることができます。
レッドオーシャンとは、競争相手が多く、競争が激しい市場や領域です。レッドオーシャンでは、価格競争やコスト競争が激しく、利益率を上げることが難しいのが特徴です。
ブルーオーシャンとレッドオーシャンの違いは、以下の表の通りです。
項目 |
ブルーオーシャン |
レッドオーシャン |
競争 |
少ない |
多い |
価格 |
高めに設定できる |
低めに設定する必要がある |
利益率 |
高い |
低い |
ターゲット |
特定のニーズを持つ人々 |
一般的なニーズを持つ人 |
戦略 |
差別化戦略 |
コスト削減戦略 |
ブルーオーシャンを創出するには、以下の3つのステップが必要です。 顧客のニーズを深く理解する 既存の市場や業界の常識を疑う 新たな価値を創造する顧客のニーズを深く理解することで、まだ誰も気づいていないニーズを発掘することができます。また、既存の市場や業界の常識を疑うことで、新しい価値を創造するヒントを得ることができます。一方、レッドオーシャンで成功するには、以下の3つの戦略が必要です。 差別化戦略 コスト削減戦略 新たな顧客層の開拓差別化戦略では、競合他社との差別化を図ることで、競争力を高めることができます。コスト削減戦略では、コストを削減することで、価格競争に打ち勝つことができます。また、新たな顧客層の開拓では、これまで競合他社がターゲットとしていない顧客層を掘り起こすことで、新たな成長機会を創出することができます。
ここではマーケティング分析についてよくある質問を解説をします。
マーケティング分析はなぜ必要なのか?
マーケティングで1番大事なことは何か?
マーケティングの最終目的は何か?
マーケティング分析はなぜ必要なのか?
インターネットやSNSを使って情報収集や商品を購入する消費者が増えており、価格や機能だけでなくブランドやデザイン、口コミなども重視しています。このような多様化した消費者のニーズに対応するには、Webサイトのアクセス解析やアンケート調査などのマーケティング分析が必要であり、市場環境の変化に対応するためにも企業にとって重要です。
マーケティングで1番大事なことは何か?
マーケティングでは「ビジネスがどのようなターゲット市場を対象に、どのような製品やサービスをどのような価値で、どのような価格で提供するか」という事が重要です。
この4つの要素はマーケティング戦略の基本となります。これらの要素が適切に設定されていなければ、ビジネスは顧客に価値を届けることができず、売上を拡大することは難しいでしょう。
例えば、ターゲット市場を明確にしないまま、すべての顧客に同じ製品・サービスを提供するビジネスは、顧客のニーズを満たすことができず、失敗する可能性が高くなります。
また、製品・サービスの価値を高めずに、価格を高く設定するビジネスは、顧客の購買意欲を損なう可能性があります。
これらの要素を適切に設定することで、ビジネスは顧客に価値を届け、売上を拡大することができます。
マーケティングの最終目的は何か?
マーケティングの最終目的は「売ること」です。この考え方は、マーケティングの父であるフィリップ・コトラーが提唱したものです。コトラーは、マーケティングを「顧客のニーズを理解し、そのニーズを満たす製品やサービスを開発・提供することで、顧客の満足と企業の利益を創造するプロセス」と定義しています。
この定義から分かるように、マーケティングは顧客のニーズを満たすことが目的であり、その結果として売上が上がることが最終目的であるということです。
マーケティング分析とは、自社のマーケティング戦略を策定し、利益を最大化させるためにとても重要なプロセスです。
本記事では、初心者向けにマーケティング分析の基本を解説しました。
マーケティング分析を行うことで、自社の強みや課題、市場環境の変化を把握することができます。
これらの情報をもとに、効果的なマーケティング戦略を策定することで、売上の向上や顧客満足度の向上など、マーケティング目標の達成に近づくことができます。マーケティング分析は、マーケティングの基本であり、マーケティングを成功させるために欠かせないプロセスです。
初心者の方も本記事を参考にして、マーケティング分析を習得しマーケティング戦略の策定に役立ててください。
弊社、株式会社アイデアプラスはお客様が抱える課題を考えクリエイティブの力で課題解決、一緒に目標達成まで伴走致します。
お困りの際は、ぜひ株式会社アイデアプラスにお気軽にご相談ください。
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森 敬祐
ディレクター
大学院時代に学生起業として組織を設立。中小企業から大手の中で新事業開発や商品開発の企画を実施。
アイデアプラスでは販促戦略やデジタルマーケティング、ブランディングや新商品開発を行う。
好きなものは、お酒・ゴルフ・麻雀・フットサル・ドラゴンズなど。