4Mとは?製造業の品質管理と変更管理、変化点と要因の分析・解析4Mとは?製造業の品質管理と変更管理、変化点と要因の分析・解析
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製造
2025年12月24日

4Mとは?製造業の品質管理と変更管理、変化点と要因の分析・解析

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ideaCompass編集部
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4Mとは?製造業の品質管理と変更管理、変化点と要因の分析・解析
製造業の現場で発生する品質問題や事故の原因を特定する際、「4M」というフレームワークが広く活用されています。
4Mとは、Man(人)、Machine(機械)、Material(材料)、Method(方法)の4つの要素を指し、製造プロセス全体を体系的に分析するための基本的な視点です。

この記事では、4Mの基本定義から具体的な分析方法、変更管理の実践まで、製造業の品質管理に欠かせない4Mの全体像を詳しく解説します。
品質向上や事故防止に取り組む方々にとって、実務に直結する知識を提供します。

4Mとは?製造業の品質管理・生産管理を支える「4つの要素」の基本定義

製造業における品質管理と生産管理の基盤となる4Mは、製造プロセスに影響を与える主要な要素を体系的に整理したフレームワークです。

このセクションでは、4Mの成り立ちと各要素の詳細、そして品質問題の要因特定における重要性について解説します。

製造業の基本フレームワーク「4M」の正確な意味と成り立ち

4Mは、製造現場で発生するあらゆる事象を4つのカテゴリーに分類して管理する考え方です。
この概念は、品質管理の父と呼ばれるW・エドワーズ・デミング博士らによって体系化され、製造業における問題解決の基本フレームワークとして世界中で採用されています。

4Mの枠組みを使うことで、複雑な製造プロセスを整理し、問題の原因を漏れなく検討できるようになります。
例えば、不良品が発生した際に「何が原因か分からない」という状況を避け、人・機械・材料・方法という4つの視点から体系的に原因を探ることができます。

4Mを構成する4つの要素(Man、Machine、Material、Method)の詳細

4Mを構成する各要素には、それぞれ明確な役割があります。

Man(人)は、作業者のスキル、経験、教育訓練、体調、モチベーションなど人的要因を指します。
Machine(機械)は、製造設備、工具、治具、計測器などの設備要因です。
Material(材料)は、原材料、部品、副資材などの材料要因を含みます。
Method(方法)は、作業手順、作業標準、製造条件、検査方法などの手法要因を表します。

これら4つの要素は相互に関連しており、どれか1つが変化すると製品品質に影響を与える可能性があります。

なぜ4M分析が必要なのか?品質問題・事故の要因特定における重要性

製造現場では、日々さまざまな品質問題や事故が発生します。
その原因を正確に特定しなければ、同じ問題が繰り返し発生してしまいます。
4M分析は、問題の真因を体系的に追究するための強力なツールです。

例えば、ある製品で寸法不良が発生した場合、「作業者のミスだろう」と決めつけるのではなく、4Mの視点で検証します。
作業者の技能(Man)、測定器の精度(Machine)、材料のばらつき(Material)、作業手順の妥当性(Method)をすべて確認することで、見落としていた真の原因を発見できます。
再発防止には、この多面的な分析が不可欠です。

4M分析の具体的なやり方:不良や事故の原因を究明する

4M分析は、品質問題や事故が発生した際に原因を特定し、効果的な対策を講じるための実践的な手法です。

このセクションでは、4M分析の基本的な考え方から、特性要因図を活用した具体的な手順、実際の製造現場での適用例、そして分析を成功させるポイントまでを解説します。

4M分析とは?目的と問題解決へのアプローチ

4M分析とは、発生した問題に対して、Man、Machine、Material、Methodの4つの視点から要因を洗い出し、真の原因を特定するための分析手法です。
目的は、表面的な現象ではなく根本原因を突き止め、効果的な再発防止策を立案することにあります。

具体的には、問題が発生したときに「なぜそうなったのか」を4Mの各要素ごとに掘り下げていきます。
例えば、塗装の色ムラが発生した場合、作業者の技能や体調(Man)、塗装機の設定や状態(Machine)、塗料の品質(Material)、塗装手順や環境条件(Method)を順に検証します。

特性要因図(フィッシュボーン図)を使った4M分析の書き方と手順

特性要因図は、魚の骨のような形状からフィッシュボーン図とも呼ばれ、4M分析を視覚化する代表的なツールです。
まず、紙やホワイトボードの右端に問題(特性)を記入し、そこから左に向かって太い矢印(背骨)を引きます。

フィッシュボーン図作成の手順
・背骨から4本の大骨を斜めに伸ばし、それぞれにMan、Machine、Material、Methodと記入
・各大骨から中骨・小骨を伸ばし、考えられる要因を具体的に書き出す

例えば、Manの大骨からは「経験不足」「疲労」「教育不十分」などの中骨を、さらに「残業続き」「マニュアル未読」などの小骨を展開します。
この作業をチーム全体で行うことで、多角的な視点から要因を網羅的に洗い出せるのが特徴です。

製造現場における4M分析の具体例:不良品発生の原因特定

ある電子部品工場で、基板のはんだ付け不良が多発した事例を見てみましょう。
4M分析を実施した結果、次のような要因が明らかになりました。

Manでは、新人作業者への教育が不十分で、はんだごての適切な角度を理解していませんでした。
Machineでは、はんだごての温度調整機能に不具合があり、設定温度と実際の温度にズレが生じていました。
Materialでは、納入されたはんだ材料のロットが変更され、融点特性が従来と異なっていました。
Methodでは、作業標準書に温度確認の手順が明記されておらず、チェックが漏れていました。

この分析により、単一の原因ではなく複数の要因が重なって不良が発生していたことが判明し、それぞれに対する対策を立案できました。

4M分析を成功させるための「4つの視点」と注意点

4M分析を効果的に進めるには、次の4つの視点を押さえることが重要です。

第一に、現場・現物・現実の三現主義で事実を確認すること。
推測ではなく、実際に現場で起きていることを観察し、データに基づいて判断します。

第二に、4つの要素をバランスよく検証する視点です。
Man、Machine、Material、Methodのいずれか特定の要素だけに偏らず、すべての要素を均等に検討します。

第三に、チーム全体で多角的に分析する視点です。
一人ではなく、多様な経験や専門知識を持つメンバーで分析することで、見落としを防げます。

第四に、「なぜ」を繰り返して真因を追究する視点です。
「なぜ」を5回繰り返す手法を併用すると、表面的な原因から根本原因まで深掘りできます。

また、重要な注意点として、「人のせい」にせず、システムや仕組みの問題として捉えることが挙げられます。
分析結果は必ず記録として残し、類似問題発生時の参考資料として活用しましょう。

4M変更管理(変化点管理)の徹底:品質維持とリスク回避

製造現場では、日々さまざまな変更が発生します。
その変更を適切に管理しなければ、品質トラブルや事故につながるリスクが高まります。

このセクションでは、4M変更管理の基本概念から、実践的な管理方法、具体的な変化点の例、そして管理表を活用したプロセス管理まで解説します。

4M変更とは?製造現場における「変化点」の定義

4M変更とは、製造プロセスにおいてMan、Machine、Material、Methodのいずれかに生じる変化のことを指します。
これらの変化は「変化点」とも呼ばれ、品質や安全性に影響を与える可能性があるため、厳密な管理が必要です。

例えば、作業者の交代や新人の配置(Man)、設備の修理や更新(Machine)、材料の供給元変更(Material)、作業手順の改訂(Method)などが該当します。
これらの変化が発生した際、事前にリスクを評価し、適切な対応を取ることで、品質トラブルの未然防止が可能になります。

品質管理における4M変更管理の目的と重要性

4M変更管理の主な目的は、変化による品質への影響を最小限に抑え、安定した製造プロセスを維持することです。
変更を適切に管理しないと、突発的な不良品の発生や、重大な事故につながる恐れがあります。

変更管理の重要性は、過去の品質問題の多くが変化点で発生していることからも明らかです。
具体的には、変更前後で品質データを比較し、異常がないか確認する、変更内容を関係者全員に周知する、必要に応じて試験生産を行うなどの対応が求められます。

こうしたプロセスを経ることで、変化によるリスクを事前に検出し、対処できるのです。

各要素の4M変化点と管理方法の具体例

Man(人)の変化点には、作業者の変更、配置転換、体調不良、スキルレベルの変化などがあります。
管理方法としては、作業者ごとの技能マトリクスを作成し、必要なトレーニングを実施します。

Machine(機械)の変化点には、設備の保全・修理、部品交換、新規導入、老朽化などが含まれます。
設備履歴を記録し、定期点検スケジュールを厳守することで管理します。

Material(材料)の変化点は、供給元の変更、ロット変更、材料規格の変更などです。
入荷検査を強化し、初回ロットは試験的に使用して品質を確認します。

Method(方法)の変化点には、作業手順の変更、製造条件の調整、検査基準の見直しなどがあります。
変更前に影響評価を行い、関係者への教育と文書の更新を徹底します。

4M変更管理表(チェックリスト)を活用したプロセス管理

4M変更管理表は、変化点を漏れなく記録し、管理するためのツールです。
この表には、変更日時、変更内容、変更理由、影響評価、承認者、確認結果などを記載します。

チェックリスト形式にすることで、必要な手順を確実に実行できます。
例えば、材料供給元が変更される場合、変更管理表に以下の項目を記入します。

チェック項目の例
・変更前後の供給元名と材料規格の比較
・品質への影響評価と試験計画
・関係部署への通知と承認プロセス

この表を定期的にレビューすることで、変更の履歴を追跡でき、問題発生時の原因調査にも活用できます。
また、デジタル化してデータベース管理すれば、過去の変更事例を検索しやすくなり、類似の変更時に参考にできます。

4Mの発展形:5M、6M、4M+1Eなど関連フレームワークとの違い

4Mは製造業の基本フレームワークですが、時代の変化や多様化する製造環境に対応するため、いくつかの発展形が生まれています。

このセクションでは、5Mや6Mといった拡張概念、環境要因を加えた4M+1E、そして現場改善に役立つ他のフレームワークについて解説します。

4Mを超える概念:「5M」や「6M」が追加する要素とは?

5Mは、4Mに「Measurement(測定・計測)」を加えた概念です。
製造プロセスでは、測定器の精度や測定方法が品質に大きく影響するため、独立した要素として管理する必要性が認識されています。
例えば、測定器の校正漏れや測定手順の誤りが不良品の見落としにつながります。

6Mは、5Mにさらに「Management(管理・マネジメント)」や「Mother Nature(環境・自然条件)」を追加したものです。
組織の管理体制や意思決定プロセス、あるいは気温・湿度・気圧といった環境条件が製造品質に影響することを明示的に考慮します。
これらの拡張により、より包括的な品質管理が可能になります。

4M+1Eとは?環境要因(Environment)の重要性

4M+1Eは、4Mに「Environment(環境)」を加えたフレームワークです。
環境要因には、作業場の温度・湿度、照明、騒音、清浄度、振動などが含まれます。

特に精密機械や電子部品の製造では、わずかな環境変化が製品品質に影響します。
具体的には、半導体製造のクリーンルームでは、微粒子の混入を防ぐため環境管理が極めて重要です。

また、塗装工程では温度や湿度が塗膜の品質を左右します。
4M+1Eの視点を持つことで、従来の4Mでは見落としがちだった環境起因の問題を特定しやすくなります。

近年では、環境負荷低減や省エネルギーといった観点からも、環境要因を体系的に管理する重要性が高まっています。

現場改善(カイゼン)に役立つその他のフレームワーク

4M以外にも、製造現場の改善に役立つフレームワークは多数存在します。

PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルは、継続的な改善活動の基本となる手法で、4M分析と組み合わせることで効果を発揮します。
5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)は、作業環境を整え、ムダを排除するための基本活動です。5Sが徹底された職場では、4Mの各要素も管理しやすくなります。

その他のフレームワーク
・QC七つ道具(パレート図、特性要因図、チェックシート、ヒストグラム、散布図、管理図、層別)
・なぜなぜ分析(5回のなぜ)

これらのツールを4Mの枠組みと併用することで、問題の発見から対策立案まで体系的に進められます。
自社の課題や目的に応じて、適切なフレームワークを選択し、組み合わせることが効果的な改善活動につながります。

4M管理を製造業の現場で活かすための改善と実践ポイント

4Mの理論を理解しても、実際の現場で活用できなければ意味がありません。

このセクションでは、4Mの視点を日常業務に取り入れ、品質向上と生産性改善を実現するための実践的なポイントを解説します。
作業標準化、改善サイクル、若手育成の3つの観点から具体的な活用方法を紹介します。

4Mの視点を取り入れた作業標準化(マニュアル化)の進め方

作業標準化は、製造品質を安定させる基盤となります。
4Mの視点を取り入れることで、より実効性の高い標準書を作成できます。

まず、Man(人)の観点から、作業に必要なスキルレベルや教育訓練項目を明確にします。
Machine(機械)については、使用する設備や工具の種類、設定値、点検項目を具体的に記載します。
Material(材料)では、使用する材料の規格や確認方法を明示し、Method(方法)では作業手順を写真や図を使って視覚的に示します。

例えば、組立工程の標準書には、「どの工具を使うか」「どの順序で作業するか」「どこをチェックするか」を4Mの要素ごとに整理します。
これにより、誰が作業しても同じ品質を確保できるマニュアルが完成します。

4Mデータに基づいた品質改善サイクルの回し方

品質改善を継続的に進めるには、4Mのデータを活用したPDCAサイクルが効果的です。

Plan(計画)では、4M分析で特定した課題に対する改善計画を立てます。
Do(実行)では、計画に基づいて対策を実施します。

Check(確認)では、4Mの各要素について改善前後のデータを比較し、効果を検証します。
例えば、作業者のスキル向上度(Man)、設備の稼働率(Machine)、材料の不良率(Material)、作業時間の短縮(Method)などを測定します。

Act(処置)では、効果が確認できた対策を標準化し、効果が不十分な場合は再度分析して改善策を見直します。

このサイクルを回すことで、データに基づいた確実な品質向上が実現します。
改善活動の記録を4Mの枠組みで整理しておけば、類似問題発生時の参考資料としても活用できます。

4Mフレームワークの習得が若手社員にもたらすメリット

若手社員にとって、4Mフレームワークは製造業の基礎知識を体系的に学ぶ優れた教材です。

4Mの視点を持つことで、問題を多角的に捉える思考力が養われます。
先輩社員と4M分析を一緒に行うことで、現場のノウハウや暗黙知を効率的に吸収できます。

また、4Mの枠組みを使えば、上司や同僚とのコミュニケーションが円滑になります。
「Machineの問題ですか、それともMethodの問題ですか?」といった共通言語で議論できるため、認識のズレが生じにくくなります。

さらに、4M変更管理を経験することで、変化に対するリスク意識が高まり、慎重かつ計画的に業務を進める習慣が身につきます。

こうした基礎スキルは、将来的に管理職や改善リーダーとして活躍する際の土台となります。
製造業でキャリアを築くうえで、4Mの理解は必須の能力といえるでしょう。

まとめ

4M(Man、Machine、Material、Method)は、製造業における品質管理と生産管理の基本フレームワークです。
このシンプルな枠組みを理解し、日常業務に活用することで、品質問題の真因を特定し、効果的な再発防止策を立案できます。

4M分析は、特性要因図などのツールと組み合わせることで、複雑な問題も体系的に解決できます。
また、4M変更管理を徹底すれば、変化点におけるリスクを事前に察知し、トラブルを未然に防げます。

4Mの視点は、ベテランから若手まで、すべての製造現場の人材にとって必須のスキルです。
作業標準化や改善活動に4Mを取り入れ、データに基づいた継続的な品質向上を実現しましょう。

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