LTV(顧客生涯価値)とは?計算方法と向上施策を解説LTV(顧客生涯価値)とは?計算方法と向上施策を解説
2025年9月5日

LTV(顧客生涯価値)とは?計算方法と向上施策を解説

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ideaCompass編集部
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LTV(顧客生涯価値)とは?計算方法と向上施策を解説
現代のビジネスにおいて、新規顧客を獲得し続けるだけでは持続的な成長は困難です。
顧客との長期的な関係を築き、継続的な収益を生み出すことが重要になっています。

そのために欠かせない指標がLTV(顧客生涯価値)です。
この記事では、LTVの基本的な定義から具体的な計算方法、そして効果的な向上施策まで、ビジネス成功に直結する情報を分かりやすく解説します。

LTV(顧客生涯価値)とは?基本の定義と重要性

LTVは顧客が企業との取引期間を通じてもたらす利益の総額を表す重要な指標です。
現代の競争激化したビジネス環境において、顧客との長期的な関係性を重視する経営戦略の中核となっています。

LTVとは「顧客が企業にもたらす利益の総額」

LTV(Life Time Value)は、1人の顧客が企業との取引を開始してから終了するまでの期間に、企業にもたらす利益の総額を指します。
具体的には、顧客の平均購入単価、購入頻度、継続期間を掛け合わせて算出される数値です。

例えば、月額1,000円のサブスクリプションサービスを24ヶ月間利用する顧客のLTVは24,000円となります。
この指標により、企業は顧客一人一人の価値を数値化し、マーケティング投資の効率性や事業の収益性を客観的に評価できるようになります。

LTVが現代ビジネスにおいて重要視される理由

現代のビジネス環境では、新規顧客獲得コストが年々上昇しており、既存顧客との関係性を深めることが収益向上の鍵となっています。

LTVを重視する理由
・新規顧客獲得コストが既存顧客維持コストの5倍以上になることが多い
・顧客の購買行動が多様化し、単発の取引よりも継続的な関係性が重要になっている

例えば、ECサイトでは初回購入者の80%が再購入しないというデータもあり、リピート率の向上がビジネス成功の分かれ道となっています。
LTVを指標とすることで、短期的な売上だけでなく、中長期的な顧客価値の最大化に焦点を当てた戦略立案が可能になります。

LTVの計算方法とビジネスモデルごとの算出例

LTVの計算には複数の手法があり、ビジネスモデルや業界特性に応じて適切な算出方法を選択することが重要です。
ここでは基本的な計算式から実際のビジネスでの応用例まで詳しく解説します。

基本となるLTVの計算式

最もシンプルなLTVの計算式は以下の通りです。
LTV = 平均購入単価 × 購入頻度 × 継続期間

より精度の高い計算を行う場合は、以下の式を使用します。
LTV =(平均購入単価 × 購入頻度 × 粗利率 × 継続期間)- 顧客獲得コスト

具体的には、月額3,000円のサービスを利用する顧客の継続期間が平均18ヶ月、粗利率が70%の場合、LTVは3,000円 × 18ヶ月 × 0.7 = 37,800円となります。
この数値が顧客獲得にかけられる最大投資額の目安となります。

LTVを構成する要素と算出時の注意点

LTVを正確に算出するためには、以下の要素を適切に把握する必要があります。

LTVを構成する要素
・平均購入単価(ARPU):顧客一人当たりの平均的な購入金額
・購入頻度:特定期間内における顧客の購入回数
・継続期間(顧客寿命):顧客が取引を継続する平均期間
・粗利率:売上から変動費を差し引いた利益率

算出時の注意点として、季節変動やトレンドの影響を考慮する必要があります。
例えば、ファッション業界では季節要因により購入パターンが大きく変動するため、最低12ヶ月間のデータを基に算出することが推奨されます。

ビジネスモデル別のLTV計算例(EC・SaaS・サブスクリプション)

各ビジネスモデルでのLTV計算例を紹介します。

LTV計算例
ECサイトの場合(平均購入単価5,000円、年間購入回数3回、継続期間2年、粗利率40%の場合): LTV = 5,000円 × 3回 × 2年 × 0.4 = 12,000円
SaaSサービスの場合(月額料金10,000円、平均継続期間24ヶ月、粗利率80%の場合): LTV = 10,000円 × 24ヶ月 × 0.8 = 192,000円
サブスクリプション動画配信の場合(月額料金1,500円、平均継続期間18ヶ月、粗利率60%の場合): LTV = 1,500円 × 18ヶ月 × 0.6 = 16,200円

これらの数値は、マーケティング予算配分や顧客獲得戦略の重要な判断材料となります。

LTVとセットで考えるべき重要指標「CAC」とは

LTVを単独で評価するだけでは不十分です。
顧客獲得にかかるコストであるCACと組み合わせて分析することで、ビジネスの真の収益性と持続可能性を正確に把握できます。

CAC(顧客獲得コスト)の定義と計算式

CAC(Customer Acquisition Cost)は、新規顧客を一人獲得するために要した費用を指します。

基本的な計算式は以下の通りです。
CAC = マーケティング費用 ÷ 新規獲得顧客数

例えば、月間のマーケティング費用が100万円で、新規獲得顧客数が50人の場合、CACは20,000円となります。
より正確な算出のためには、営業人件費、広告制作費、システム運用費なども含めて計算することが重要です。

CACには獲得チャネルごとの違いも考慮する必要があります。
具体的には、リスティング広告経由の顧客とSNS広告経由の顧客では獲得コストが大きく異なるため、チャネル別にCACを算出することで、効率的な予算配分が可能になります。

LTVとCACの関係性からビジネスの健全性を測る

LTVとCACの比率(LTV/CAC比率)は、ビジネスの健全性を示す重要な指標です。

一般的に健全とされる比率
・3:1以上:健全なビジネスモデル
・1:1以下:収益性に課題があり改善が必要

例えば、LTVが60,000円、CACが15,000円の場合、LTV/CAC比率は4:1となり、非常に健全なビジネス状態と判断できます。
この比率が低い場合は、LTV向上施策またはCAC削減施策のいずれかを実施する必要があります。

また、ペイバック期間(CACを回収するまでの期間)も重要な指標です。
一般的に12ヶ月以内でのCAC回収が理想的とされており、この期間が長い場合は cash flow に課題が生じる可能性があります。

LTVを向上させるための具体的な戦略と施策

LTV向上には顧客単価の増加、購入頻度の向上、継続期間の延長という3つのアプローチがあります。
それぞれに効果的な施策を組み合わせることで、持続的な収益成長を実現できます。

顧客単価を上げる「アップセル」と「クロスセル」採用プロセス・募集要項

アップセルとクロスセルは、既存顧客からの収益を最大化する代表的な手法です。

アップセルでは、現在利用中のサービスよりも上位版への移行を促します。
例えば、月額1,000円のベーシックプランを利用中の顧客に対し、月額3,000円のプレミアムプランの価値を訴求し、段階的な価格帯の移行を図ります。

クロスセルでは、関連する他の商品やサービスの購入を促進します。
具体的には、化粧品のECサイトで基礎化粧品を購入した顧客に対し、同ブランドのメイクアップ商品を推奨することで客単価の向上を図ります。

成功のポイントは、顧客の利用状況やニーズを的確に把握し、適切なタイミングで価値のある提案を行うことです。
データ分析に基づいた個別化されたレコメンデーションが、高い成約率につながります。

購入頻度を高めるリピート施策

購入頻度の向上には、定期的な接点づくりと購入動機の創出が重要です。

効果的な施策の例
・定期購入システムの導入による自動注文の仕組み化
・限定商品やタイムセールによる購買機会の創出

例えば、健康食品のECサイトでは、初回購入から30日後に自動で次回分が届く定期購入システムを導入することで、購入忘れの防止と継続利用の促進を同時に実現できます。

また、CRMシステムを活用したパーソナライズされたメール配信により、顧客の関心度が高いタイミングでの商品紹介も効果的です。
購入履歴に基づいた商品レコメンドや、季節に応じた提案により、自然な購入動機の醸成が可能になります

顧客の継続期間を延ばすための戦略

継続期間の延長には、顧客満足度の向上と解約防止対策が不可欠です。

継続期間を延ばす戦略として、顧客の利用状況を定期的にモニタリングし、解約の兆候を早期に発見することが重要です。
具体的には、ログイン頻度の減少や利用機能の限定化などの解約予兆を検知した段階で、カスタマーサクセスチームが積極的にサポートを提供します。

また、長期利用者に対するロイヤリティプログラムの実施も効果的です。
例えば、契約継続1年ごとに月額料金の割引率を上げることで、解約による機会損失の意識づけを図ります。

サブスクリプションサービスでは、年間契約による割引制度の導入により、顧客の長期利用へのコミットメントを促すことができます。

LTV向上に成功した企業の事例

実際の企業事例を通じて、LTV向上施策の具体的な成果と実施ポイントを確認しましょう。

Netflix(動画配信サービス)では、視聴履歴に基づくパーソナライズされたコンテンツレコメンデーション機能により、顧客の継続利用期間を大幅に延長しました。
独自の機械学習アルゴリズムによって、個々のユーザーの嗜好に合致する作品を高精度で推薦することで、解約率を20%削減し、平均LTVを約40%向上させています。

Amazon(EC・クラウドサービス)は、プライム会員制度を通じた総合的なLTV向上戦略を展開しています。
年会費制の会員制度により顧客の継続利用を促進し、配送特典や動画配信サービスなどの付加価値によりクロスセルを促進しています。
プライム会員の年間購入額は一般会員の約2.5倍に達し、継続率も90%以上を維持しています。

Salesforce(SaaS)では、段階的な機能拡張によるアップセル戦略と、専任のカスタマーサクセスマネージャーによる継続利用支援により、業界平均を大きく上回るLTV/CAC比率を実現しています。

顧客の成功を支援することで自社の収益拡大を図る「Win-Win」の関係構築が、高いLTVの実現につながっています。

まとめ

LTVは現代ビジネスにおける最重要指標の一つです。
顧客との長期的な関係性を数値化することで、マーケティング投資の効率性向上と持続的な収益成長を実現できます。

今後のビジネス戦略において、LTVを中心とした顧客価値最大化の取り組みは必須となります。
まずは自社の現状数値を正確に把握し、改善余地の大きい領域から段階的に施策を実行していくことで、競合他社との差別化と長期的な成長基盤の構築を目指しましょう。

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