MVVの作り方を5ステップで解説!知っておきたいポイントや注意点も - アイデアコンパス

MVVの作り方を5ステップで解説!知っておきたいポイントや注意点もMVVの作り方を5ステップで解説!知っておきたいポイントや注意点も

MVVの作り方を5ステップで解説!知っておきたいポイントや注意点も

本記事の著者
長谷川 歩楽 ( ファシリテーター )
長谷川歩楽 (ファシリテーター)
mvvで
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MVVの作り方を5ステップで解説!
知っておきたいポイントや注意点も
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は、組織が自らのアイデンティティや方向性を整理し、組織の経営戦略や意思決定の基準となるものです。
組織の目指す理想や目標実現に向けて一体となって取り組みを行うなど、会社経営に実際の効果をもたらす重要な要素でもあります。

では、具体的にどうすればMVVを作ることができるのでしょうか。本記事では、MVVの作り方やポイント・注意点をわかりやすく解説します。

MVVとは

MVVとは、Misson(ミッション)・Vision(ビジョン)・Values(バリュー)の頭文字を取った略語です。
ミッションは企業の存在理由や基本的な目的、ビジョンは組織の長期的な目標や理想的な未来像、バリューは企業が大切にする価値観や信念を示します。

MVVを作る際は、それぞれの目的やポイントを理解することが重要です。

MVVの作成に関わるメンバー

MVVの作成に関わるのは、主に経営陣です。
CEO(最高経営責任者)・トップマネジメント・幹部・人事担当者など従業員や関連する部門の代表者も含まれます。


経営に関わっているメンバーを軸にして、外部のコンサルタントや専門家もメンバーの一員としてMVVの策定プロセスをサポートします。

MVVを作るべきタイミング

企業によって異なりますが、MVVは新しい企業の設立時や新規プロジェクトが始まる前に作成するのが一般的です。
新しい物事をスタートさせる際にMVVを作ることで、組織の目的や方向性が明確になり、ステークホルダーとの共通の理解が生まれます。

その他、組織の変革や成長の過程段階、新しいリーダーシップの就任時もMVVを作るべきタイミングです。
変化に対応するためにも、そのときの状況や組織の成熟度に応じてMVVを定期的に見直すことが大切なポイントです。

【5ステップで解説】MVVの作り方

では、MVVはどのような流れで作成すればいいのでしょうか。主な手順は以下の5ステップです。

STEP1:自社の現状を分析する
STEP2:ステークホルダーの意見をまとめる
STEP3:ミッションを検討する
STEP4:ビジョンを検討する
STEP5:バリューを検討する

STEP1 自社の現状を分析する

まずは組織が存在する目的や価値を具体的に表現するため、自社の現状を分析します。
なぜ組織が存在しているのか、どのような価値を提供できるのか、市場での自社の立ち位置を明確にしましょう。

特に、競合他社に負けない「自社の強み」と目標達成や組織の成長を阻む「自社の弱み」を理解することが大切です。

STEP2 ステークホルダーの意見をまとめる

次に、何を求められているか、何が重要なのかを把握するために、社員・顧客・投資家などのステークホルダーから意見を集めます。

このステップを実践することで、ステークホルダーとの対話を通じて、客観的に組織の在り方を考えられるでしょう。
ステークホルダーとの異なる視点を理解し、共感することがポイントです。

STEP3 ミッションを検討する

自社の現状分析とステークホルダーの意見によって、企業の存在理由や基本的な目的を定義します。

自社は何のために存在するのか、社会に対してどのような価値を提供していきたいのかなど、より深くミッションを検討しましょう。

STEP4 ビジョンを検討する

ミッションを決めた後は、ビジョンを検討しましょう。

例えば、「○年後には先進的な技術を駆使して、業界や市場でリーダーシップを確立させる」など、組織の長期的な目標や理想的な未来像を定義します。

ビジョンでは数年で達成できる目標を立てるのがポイントです。

STEP5 バリューを検討する

最後は、企業が大切にする価値観や信念となるバリューを定義します。
例えば、「品質第一」「豊かな社会の実現」「働く人が元気であり続ける経営」などです。

バリューは、ビジョンを実現するための提供価値や行動指針を示した大切な言葉となります。

MVVを作るときに考慮すべき5つのポイント

MVVを作る際に考慮すべきポイントは以下の5つです。

・ビジョンは具体的に決める
・現実的に可能なビジョンを考える
・一体感を出すために多くのメンバーと協力する
・メンバーの意見を否定・批判しない
・定期的に見直す

ビジョンは具体的に決める

将来の理想的な状態や目標に対する明確なイメージや描写となるビジョンは、より具体的に決めることがMVVの大切なポイントです。
例えば「よりよい会社になる」というビジョンでは、具体的にどのようなことをすればいいのかステークホルダーに伝えられません。

抽象的なビジョンではなく、具体性のあるビジョンを示しましょう。

現実的に可能なビジョンを考える

ビジョンを決める際は、現実的に可能であるかどうかを考える必要があります。

例えば、設立したばかりの新企業が「世界でNo.1のシェアを獲得する」など、すぐに実現できないビジョンだとステークホルダーの信頼性を失い、従業員のモチベーションも下がってしまいます。

実現可能なビジョンを考えるためにも、自社の現状を把握することが大切です。

一体感を出すために多くのメンバーと協力する

前述したように、MVVを作成するメンバーは経営陣がメインとなりますが、MVVを作成する際はより多くのメンバーとの協力が必要不可欠です。

各部門の責任者はもちろん、従業員の意見も取り入れることで一体感が生まれ、MVVに対する共感と取り組みが強まります。

メンバーの意見を否定・批判しない

自社に合ったMVVを作成するためには、さまざまな人の意見を柔軟に取り入れる必要があります。
メンバーの意見を否定したり、批判したりしていると建設的なディスカッションを重ねることはできません。

メンバー1人ひとりからの意見をアウトプットしていき、ディスカッションを重ね、自社ならではのMVVを作りましょう。

定期的に見直す

MVVを作るべきタイミングで説明したように、MVVは定期的に見直す必要があります。
なぜなら時代の移り変わりと同時に市場も変化し、その時代の変化に対応することが組織の成長につながるからです。

市場環境の変化や策定したビジョンを達成したときなどに、新しいビジョンを設定してください。

MVV作成後に社内浸透させる3つの方法

MVVは組織の中で意思決定の基準となります。
一致団結して目標達成を目指すには、作成したMVVを社内で浸透させることが重要です。

MVV作成後に社内浸透させる方法としては、以下の3つがあります。

・MVVの意味・思いを社員に説明する
・人事評価の基準に組み込む
・社内報や社内ポータルに掲載する

MVVの意味・思いを社員に説明する

従業員がMVVを常に意識するためにも、MVVの意味とそこに込められた思いを社員にしっかりと説明する必要があります。

例えば、組織のウェブサイトに記載したり、社内の掲示板にポスターを掲示したりするなど伝え方は多種多様ですが、近年は「クレドカード」を導入する企業が増えてきました。

クレドカードとは行動指針がカードに記載されているカードです。名刺サイズで容易に持ち運べるため、MVVが定着しやすくなります。

人事評価の基準に組み込む

人事の評価基準に組み込むことで、MVVに対する従業員の意識がより一層強まります。
従業員1人ひとりが自己の利益につなげるため、MVVを実践するきっかけになるでしょう。

なお、MVVに則った行動を取る従業員をしっかりと評価することも重要です。
従業員の努力に対して認識とフィードバックを提供すると、より効果的にMVVを浸透させられます。

社内報や社内ポータルに掲載する

人事異動や社内の出来事など組織全体のニュースを発信する「社内報」や、従業員がさまざまな社内情報やツールにアクセスできる「社内ポータル」を活用するのもポイントの1つです。
MVVに関するメッセージを定期的に発信することで、社内に浸透しやすくなります。

なお、社内報や社内ポータルを活用する際は、トップページに大きめのフォントで掲載するなど目立つ工夫をするとよいでしょう。

MVV作成の事例

ここではアイデアプラスの事例を交えた、3社のMVV作成における事例を紹介します。さまざまな事例をチェックすることで、MVVの作成におけるイメージがしやすくなるでしょう。
ぜひMVV作成時の参考にしてください。

・株式会社アイデアプラス
・三井物産株式会社
・スターバックスコーヒージャパン

株式会社アイデアプラス

弊社アイデアプラスが携わった物流関連製品の開発事業を行うL社の事例をご紹介させていただきます。

L社とのお付き合いは、新規事業企画についてご相談をいただいたことがキッカケでスタートしました。その流れで、ブランド名変更や新ロゴ制作等の企画設計から進行のファシリテーションまで担わせていただくこととなり、その延長でMVV作りもお手伝いさせていただくこととなりました。

前提として、MVVに限らず組織の核となる部分を作るためには「組織理解」が必須です。

まずはL社について理解を深めるため、社長へ直接インタビューしました。創業の背景・これまでの軌跡・今後の展望についてなど社長自身の想いを深堀りし、創業者目線での企業理解を深めました。

続いて、週一で経営会議に参加するようになりました。L社の現状分析や今後の戦略について社内チームの一員として議論し、現場目線での企業理解を深めていきました。

弊社にファシリテーションをお任せいただく価値を最大化するため、社内メンバーの一員としてプロジェクトに参加するのではなく、第三者目線を持った立場として参加するよう心掛けていました。

さらに、既存概念に捉われずフラットな目線で「L社の優れている点」を見定められるような検証も積極的に実施しました。

具体的には、SWOT分析を用いてL社の強みを言語化したり、実際にその強みが市場認識と合っているのかを定量するために第三者機関による実証実験を実施したり、顧客アンケートでユーザーレビューを集めるなど、様々な手法で強みの明確化を図りました。

こうした取り組みから着想を得て、「先進的」というキーワードを提案させていただき、MVVを作るための指標として念頭に置きました。

L社の方々にも「先進的」というキーワードはしっくり来たようで、よりチーム全体の考えに共通性が生まれ、結果的に以下のMVVを決定することができました。

L社のMVV

・ミッション:物流業界に革命を起こす
・ビジョン:最先端技術を駆使して物流業界の不可能を可能にする
・バリュー:常にアップデートし、挑戦し続ける!

技術開発を担う企業として組織全体が常に「先進的」な考え方をし、さらなる技術力の向上に向けて前進していけるようにという想いが込められています。

三井物産株式会社

2020年5月1日、三井物流株式会社はMVVを以下のように改定しました。

三井物産株式会社のMVV
・ミッション:世界中の未来をつくる
・ビジョン:360° business innovators(1人ひとりの「挑戦と創造」で事業を生み育て、社会課題を解決し、成長を続ける企業グループ)
・バリュー:「挑戦と創造」を支える価値観


以前から新たな経営理念を検討してきたようですが、経営の羅針盤としての意義がさらに高まっていると考え、新中期経営計画のテーマ「変革と成長」に向けて一致団結して推し進めています。

従業員1人ひとりの挑戦や意欲が企業成長につながるものだというメッセージが伝わるMVVである点が特徴です。

出典:三井物流株式会社|経営理念(Mission、Vision、Values)改定のこと

スターバックスコーヒージャパン

スターバックスのMVVは以下の通りです。

スターバックスコーヒージャパンのMVV
・ミッション:この一杯から広がる心かよわせる瞬間 それぞれのコミュニティとともにー
・ビジョン:創造性を絶やさずにイノベーションを起こし続けることで新たなつながりを築いていく
・バリュー:人間らしさを大切にしながら成長し続けること


「人」「コミュニティ」「地球」を大切にしているスターバックスは、一杯から広がる人と人とのつながりを育み、従業員とお客様との幸せに向けてさまざまな取り組みを実施しています。

過去には経営難にも追い込まれたスターバックスですが、MVVの原点に立ち返ることで再起しました。
人とのつながりを重要視したことで、会社を成功に導いてきたMVVともいえます。

出典:スターバックス|Our Mission, Promises and Values

よくある質問

MVVの作り方に関してよくある質問をピックアップしました。

・MVVは誰が作るのか?
・MVVはなぜ必要なのか?
・MVVを浸透させる方法は?

MVVは誰が作るのか?

経営層・経営陣、戦略的プランニング担当者、組織発展担当者、マーケティング担当者など経営を担うメンバーで構成されます。
なお、組織全体の共感を高めるため、一部の組織では従業員自体がMVV策定に参加することもあります。


詳細は本記事内の「MVVの作成に関わるメンバー」をご覧ください。

MVVはなぜ必要なのか?

MVVは組織全体の方向性を示し、従業員やステークホルダーを引き寄せ、組織全体を統合するために必要です。
組織の方向性やアイデンティを示せるため、従業員のモチベーション向上にもつながります。

また、組織はビジョンに基づいた戦略を策定し、使命や価値観に合致する形で方針を展開できるでしょう。

MVVを浸透させる方法は?

誰が見てもわかりやすいMVVにすることはもちろん、作成したMVVを社内報や社内ポータルなどを用いて従業員へ伝える方法があります。

MVVを組織文化の一部として位置づけるために人事評価と結びつけたり、新入社員研修やリーダーシップトレーニングなどでMVVを強調し具体的な事例を共有したりする方法も効果的です。


詳細は本記事内の「MVV作成後に社内浸透させる3つの方法」をご覧ください。

まとめ

今回はMVVの作り方について解説しました。

Misson(ミッション)・Vision(ビジョン)・Values(バリュー)の3点から構成されるMVVの作り方は、しっかりとステップを踏む必要があります。
まずは自社の現状を把握した上で従業員やステークホルダーの意見を取り入れながら、目指すべき方向性や価値観を明確にしていきましょう。

ステップとポイントを押さえることで自社の果たすべき使命や存在意義、行動指針が言語化され、掲げた目標に向けて社員で一致団結しながら取り組めます。

弊社、株式会社アイデアプラスはお客様が抱える課題を一緒に考え、クリエイティブの力で課題解決・目標達成に向けて伴走いたします。
MVVの作り方についてお困りの際は、ぜひ株式会社アイデアプラスにお気軽にご相談ください。

Writer

執筆者

新しいことへの挑戦を全力でお手伝いさせて頂きます!

長谷川歩楽 ファシリテーター

長谷川 歩楽 ファシリテーター

愛知県出身。工業系の大学院時代に学生起業として組織を設立。地元の中小企業から大手企業まで様々な規模/業種の企業の中で新事業開発や商品開発のファシリテーションを担当。 その後、アイデアプラスでも産官学連携の共同研究の場や製造/飲食業界などでのファシリテーションを行う。

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