課題発見力は平常時にこそ重要!
企業に必要な思考と視点を解説します
近年、企業の継続的な成長のために、課題発見力が求められています。
課題発見力はさまざまな職種に必要であり、経営陣だけでなく社員の一人ひとりが身に付けるべき能力です。
しかし、「具体的にどのような能力なのか」「どうすれば身に付くのか」という疑問をお持ちの方もいるかもしれません。
今回は、課題発見能力の基本概念・具体例・高め方などを解説します。
課題発見力を身に付けたい人は、ぜひ参考にしてください。
課題発見力とは「現状を分析し目的や課題を明確にする能力」のことです。
課題発見力をビジネスで活用すると、日々の業務の中から、まだ改善できる余地を見出せるため、業務の効率や生産性を高めることが可能です。
課題発見力の具体例は、「月間の目標を達成して実積を上げているが、この実績をさらに伸ばすにはどうすればよいか」と考えることなどが挙げられます。
課題解決力との違い
課題発見力と似た言葉に「課題解決力」があります。
課題解決力は、求められる水準に満たない現状の課題を解決する力です。
これに対し課題発見力は、求められる水準を十分に満たしている現状をさらによくするためにはどうすればよいか、新たに課題を探す能力のことです。
つまり、両者の違いは「すでに課題が発生しているかどうか」にあります。
ビジネスにおいてはいずれも必要な能力ですが、能力を働きかける状況が異なることを覚えておきましょう。
今、採用やビジネスの場で課題発見力が求められています。
どのような業種・職種でも、現状をよりよくするために改善すべき課題があります。
そのため、現状に満足せず新たな課題を発見できる人材が求められているのです。
ビジネスの場には、あらゆる課題が潜んでいます。
例えば、既存の商品やサービスの改良や経費削減、社員間のコミュニケーションなど、小さな問題を改善することで大きな成果につながるポイントが多く存在しています。
課題解決力はこれらのポイントを見つけ出し、業績アップに貢献する能力なのです。
課題発見力は企業の経営戦略を効果的に進めるうえで欠かせない能力です。
経営陣だけでなく、社員一人ひとりに養われるべきでしょう。
課題発見力が不足すると、以下の問題が発生します。
・指示待ち社員が増える
・社会の流れから会社が取り残される
・現状にとらわれて本質的な課題が発見できない
指示待ち社員が増える
課題発見能力が不足すると、指示がなければ動けない状態に陥ってしまいます。
近年、指示されたことに正確に取り組める人材が多い一方で、自ら仕事を生み出すための創意・工夫や自主性に欠けた人材も多く見受けられるようになりました。
このように能動性が不足している中でさらに課題発見力が不足すると、自分は何をすればよいのかわからなくなり、指示待ちの状態になってしまうのです。
既に明らかになっている課題を解決する力も必要ですが、企業の持続的な成長のためには、未来を見据えた課題発見ができる人材が欠かせません。
社会の流れから会社が取り残される
課題発見力が不足すると、社会の変化に追いつけなくなる恐れがあります。
IT化が急速に進み、AIも発展してきたこのVUCA時代では、現状だけでなく未来を見据えた動きを都度取る必要があります。
このような中で、社会に取り残されないためには、会社として課題発見力を養うことが必要なのです。
現状にとらわれて本質的な課題が発見できない
課題発見力が不足すると、今起きていることのみにとらわれて本質的な課題を見出せなくなる問題も生じます。
企業が解決すべき課題とは表面的なものだけではなく、その奥に潜んでいる本質的なものです。
目先のことばかりに執着していては、企業の将来的な発展は望めないでしょう。
企業が常にイノベーションをしていくためには、社員各々が課題発見力を身に付けることが大切です。
企業が解決すべき課題には、以下3つのタイプがあります。
これらの課題を見つけるためには、それぞれの状況に応じたアプローチが必要です。
・すでに発生し表面化している課題
・自分の目標の中で作り出す課題
・まだ発生していない潜在型の課題
すでに発生し表面化している課題
この課題は「発生型の課題」ともいわれ、既に発生し表面化している課題です。
例えば、以下のようなケースが該当します。
表面化している課題の例
・商品・サービスの欠陥や不具合
・ユーザーから寄せられたクレーム
・セクハラ・パワハラ・モラハラなどのハラスメント
・個人情報の漏洩
このような課題は企業の業績やイメージの悪化につながるため、早急に対処し拡大を防ぐ必要があります。
発生型の課題を解決するためには、表面化している問題の中から本質的な課題を見出す能力にくわえ、問題を素早く解決する瞬発的な行動力も必要です。
自分の目標の中で作り出す課題
この課題は「設定型の課題」ともいい、自ら目標を設定し達成するまでに発生する課題です。
一般的に、設定した目標と現状が乖離することで発生し、以下のようなケースが該当します。
目標の中で作り出す課題の例
・残業時間の超過
・想定以上の経費使用
・売上目標の未達成
・新規プロジェクトの進行の遅れ
このような課題を解決するためには、課題の原因を明らかにし、どのような対策が有効か検討し実行に移すことが求められます。
例えば、残業時間が超過する場合、業務の非効率さや勤怠管理の不備が原因として考えられ、解決するためには業務フローや勤怠管理の見直しが必要でしょう。
まだ発生していない潜在型の課題
最後は「潜在型」の課題で、現在は発生していないが今後発生しうる課題のことです。
以下のようなケースが該当します。
まだ発生していない課題の例
・競合他社の参入
・自社の業種における新技術の導入
・人材不足
・法規制の変更
これらの課題は企業の持続的な成長・発展に大きな影響を与えるため、いち早い予測と対策が求められます。
現状の課題に留まるのではなく、先を見据えた高次元のあるべき姿を想定することで、潜在型の課題を見出せるでしょう。
つまり、潜在型の課題発生による影響を軽減するためには、先回りして対策を打つことが重要なのです。
課題発見能力は企業の継続的な成長に欠かせない、社員一人ひとりに求められる能力であることがわかりました。では、どうすれば高められるのでしょうか。
ここからは、課題発見力を高めるために必要な3つの思考と3つの視点について解説します。
3つの思考
・ゼロベース思考
・未来志向
・クリティカルシンキング
3つの視点
・自社視点
・顧客視点
・競合視点
思考1
ゼロベース思考
ゼロベース思考とは、常識や前提を疑い、常にゼロベースで物事を考えることです。
既存の枠組みにとらわれていては、新たな課題は見つけられません。「これまでのやり方よりももっと効率のよい方法はないか」と、常識化している現状を疑い、思考をゼロにする意識が課題発見力を高めるのです。
例えば、「現状の売上をさらに増やしたい」という課題があったとします。その際に、「今の顧客がすべていなくなったらどうすればよいか」と考えるように、今あるものをいったんゼロにして、さらに現状をよりよくする方法を考えることがゼロベース思考です。
ゼロベース思考を身に付ければ、これまで気付かなった課題が抽出され、新たなアイデアを生み出すきっかけになるでしょう。
思考2
未来志向
未来志向とは、現状よりも未来に重きを置く思考法です。
未来志向を身に付ければ、目先の現状ではなく「未来はどのような問題が起こりそうか」と未来を見据えて行動できるため、課題の早期発見につながります。
未来志向は、現状が永遠に続くと思わず、常に未来を意識することで磨かれます。どんなときも探求心や好奇心を持って情報収集し、「未来のあるべき姿」に近づけるための策を練ることが大切です。
常に意識を未来に向けて現状をとらえれば、一歩先をいく行動がとりやすくなるでしょう。
思考3
クリティカルシンキング
クリティカルシンキングとは、自分の主観や感情に流されず、物事を批判的に捉えようとする思考です。
クリティカルシンキングを高めるためには、まず自分の思考の癖に気づくことが大切です。先入観の強い思考や偏った思考では、本質的な課題を見出せません。
「その考えは本当に正しいのか」と常に自分の思考を批判することで、客観的な視点の増加につながり、課題発見のアプローチ力が増します。また、常識や前提をいったんゼロにするゼロベースの思考も養われるでしょう。
クリティカルシンキングを鍛えれば、課題を客観的かつ多角的に捉えられ、本質的な課題を見つけられるのです。
視点1
自社視点
自社視点は、自社の構造や部署の機能を理解したうえで課題をとらえるための視点です。
組織の中にいると、自分の立場や役割を見失ってしまうケースも。特に、大企業や大きな部署では末端まで人事管理が行き届かなかったり、現場での裁量権が小さかったりし、自分の役割意識が薄れることがあります。
そうなると、自社にとって有用な課題発見はできず、企業の継続的な成長を支えることは不可能です。
自社の状況を理解し自分の役割を明確にすることで、自社に潜む本質的な課題を見極められるでしょう。
視点2
顧客視点
顧客視点とは、顧客のニーズに沿って物事を考える視点です。
自分が担当している商品やサービスの内容そのものに目を向けるあまりに、顧客の視点を忘れることがあります。しかし、商品やサービスを利用するのは顧客なので、顧客の視点を大切にしなくてはなりません。
「顧客は今、何を求めているのだろうか」「顧客の満足度を高める要素は何だろうか」と顧客のニーズを探ることで、自社に不足しているものに気付き、新たな課題発見につながります。
自社の商品やサービスを開発・改良する際は、自社だけでなく顧客の視点も大切にしましょう。
視点3
競合視点
競合他社の立場に立って自社の経営戦略を練る、競合視点も欠かせない要素です。
ビジネスにおいて競合他社は、自社の業績に影響を与える重要な存在です。競合他社の視点に立って自社を見れば、自社に不足している要素が明らかになり、効果的な施策を打ち出せます。
ただし、単に競合他社の商品・サービス・事業内容などの表面を知るだけでは不十分です。競合他社のターゲット・強み・自社との違いなど、経営的な側面を細かく分析する必要があります。
競合視点に立って競合他社の動向を細かく探れば、自社のビジネスが抱える課題が浮き彫りになるでしょう。
課題発見力を適切に発揮するためには、現状に満足せず、常に未来への一手を模索する姿勢の維持が大切です。
また、課題から生じた問題を批判することも望ましくありません。
課題発見力を発揮する際の妨げとなるこれらの要素について、詳しく説明します。
課題発見だけで満足しない
課題発見力を発揮するうえで大切なのは、課題発見だけで満足せず、解決方法も考えることです。
課題を発見したものの、今は問題に発展していないからといって放置すると、気付かぬうちに水面下で悪影響を及ぼす恐れがあるからです。
そのため、今は問題化していなくても、将来的に問題になりそうな因子はないか深く探ることが大切です。小さな因子を見逃さず先回りして対策を打てば、未来に起こり得る大きな問題を防げるでしょう。
課題発見力は、それ単体では根本的な解決にはつながりません。解決方法まで併せて提案し、それを実行に移す必要があります。
評論家タイプにはならない
問題が発生してから「自分もそうなると思っていた」などと皮肉を言う評論家タイプになってしまうと、ただの無責任な人と思われてしまいます。
企業が求めているのは、問題が発生した後で批判する人材ではなく、問題の原因となる課題を、問題になる前に指摘できる人材です。
発生したことを批判しても問題は解決しないため、まったく意味はありません。周囲も話を聞く気にはならないでしょう。
課題が見つかった際は、「この課題が将来的に大きな問題を引き起こさないか」など、さまざまな可能性を探り、解決に向け行動に移すことが大切です。
ただ問題を批判するだけの人にならず、課題の発見や改善に取り組める人材を目指しましょう。
ここでは、弊社アイデアプラスがコンテンツ企画〜撮影〜制作まで一気通貫で携わっている某YouTubeチャンネルの事例をご紹介させていただきます。
開設から1年を迎えた頃、本チャンネルは登録者数15万人を超え、順調に数字を伸ばしている最中でした。固定ファンも多く獲得することができており、特に大きな課題も無く幸先良いスタートを切れていました。
そんな中でも、1年目は「話題性」や「目新しさ」といった付加価値の後押しもあっての結果だと捉え、2年目も勢いを落とさずに進めていくにはどうすれば良いかについて早い段階から検討し始めました。
前提として、YouTubeのアルゴリズム指標は「総再生時間」や「登録者数」等の影響力が大きいと言われています。
これらの評価軸は、チャンネル開設歴が長い=先行者にメリットが多いとされており、本チャンネルのような新規参入者にとっては不利な点でした。
そこで、開設歴に関わらず数字を伸ばせる手段として「ショート動画」に注力することを決めました。
ショート動画のアルゴリズム指標は、従来のロング動画のものと違って「平均再生時間」や「エンゲージメント率」の影響が大きいと言われています。このことから、ショート動画のアルゴリズムには先行者にも新規参入者にも平等にチャンスがあると考えました。
さらに、ショート動画とロング動画の評価には相関性があり、ショート動画が高く評価されると付随してロング動画の評価も高くなる=チャンネル全体の評価が上がると言われていた点も、本チャンネルにとっては好都合でした。
結果として、ショート動画に注力し始めてから最初の3ヵ月で登録者数が5万人増え、1年後には登録者数30万人を達成することができました。
現状に満足せず「潜在型課題」を見据えて先手を打ったことが、1年目の勢いを失わないまま2年目を走り切ることができた要因だと捉えています。
課題発見力は近年企業が求めている能力です。しかし、必要性や概念について知っても、「具体的な例が知りたい」「どんな仕事に求められるの?」という思いを持っている方もいるかもしれません。
そこで、課題発見能力についてよくある質問をまとめました。
・課題発見力の例は?
・課題発見力が必要な仕事は?
・課題発見力を高めるメリットは?
課題発見力の例は?
課題発見力の具体例は、「月間のノルマを達成して実績を上げているが、今の実積を2倍にする方法はないか」、「現状のサービスに問題はないが、顧客の満足度をさらに高めるためにも、何か新しい付加価値を生む方法はないか」といった思考が挙げられます。
課題発見力は、問題のない現状をさらに改善させたり、将来問題になりそうな課題を抽出したりすることです。
そのためにも、現状よりもさらに高みを目指す姿勢が大切です。
課題発見力が必要な仕事は?
課題発見力はあらゆる業界に必要な能力ですが、特に以下の職種・業種に求められています。
【課題発見力が必要な仕事】
・金融・保険
・サービス業
・コンサルタント
・マネジメント
・企画
・商品開発
・生産管理
・エンジニア
ここに挙げたのはほんの一例です。実際は、さまざまな場面で必要とされるでしょう。
課題発見力を高めるメリットは?
課題発見力を身に付ければ、常識にとらわれない柔軟な発想力を養うことができます。
そのため、従来にない業務効率化の方法や革新的な技術の実現につながるでしょう。
課題発見力の基本思考は、「現状をよりよくするためには本当にこの方法でよいのか」と自分自身に問い続けながら、さまざま視点で課題を見つけることです。
現状のやり方や考え方を精査すれば、従来にない仕組みや構造を創出できるかもしれません。
課題発見力を高めれば、さまざまな問題に対応できる多様な価値観をも生むでしょう。
今回は、課題発見力について解説しました。
課題発見力は企業の成長・発展に欠かせない、社員一人ひとりが身に付けるべき能力です。
課題発見力がなければ、本質的な課題を見つけられないばかりか、社会の流れから会社が取り残されてしまう恐れがあります。
今回紹介した3つの思考と3つの視点を磨き、ぜひ課題発見力を身に付けてください。
弊社、株式会社アイデアプラスはお客様が抱える課題を一緒に考え、クリエイティブの力で課題解決・目標達成に向けて伴走いたします。 自社の課題解決についてお困りの際は、ぜひ株式会社アイデアプラスにお気軽にご相談ください。
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宮田 大樹
ディレクター
山口県出身。テレビ番組制作、音楽事務所、広告代理店などに20年勤務。
アイデアプラスに入社後は動画制作、SNS運用、SNS広告運用代行のディレクションや
コンセプト設計などを担当。