ロジックツリーで課題解決!お悩み別に使える4つの手法と失敗しないポイントを解説
ロジックツリーとは問題や課題を分析するためのツールの一つで、問題や課題を論理的に分解して原因や解決策を見つけるために役立ちます。
ロジックツリーで思考を整理して効率的に問題や課題を解決することができます。
この記事では、ロジックツリーの基本的な考え方と作り方を初心者でもわかりやすいように解説します。
ロジックツリーとは、ある事柄を構成する要素をツリー状に分解してその原因や解決策を論理的に探すためのフレームワークです。課題を大きな項目から小さな項目へと分解しながら階層化して図に落とし込むことで、全体像を把握しやすくします。
ロジックツリーを使うとどんなメリットがあるのでしょうか? ここでは代表的なものを3つご紹介します。
チームで課題を共有しやすい
根本的な課題を特定しやすい
アクションの優先順位をつけやすい
1.
チームで課題を共有しやすい
問題や課題を明確に定義して要素に分解して整理することで、チームメンバーが共通の認識を持つことができます。
また、ロジックツリーは視覚的に表現されるため言葉だけでは伝わりにくい思考の流れやロジックがわかりやすくなります。
共通の認識を持つことにより、チーム内でのコミュニケーションがスムーズになり、意見の食い違いや誤解を防ぐことができます。
2.
根本的な課題を特定しやすい
問題や課題を構造的に分析することで、表面的な現象ではなく根本的な原因を特定することができます。
また、特定した原因をもとに解決策を導くので、問題解決に必要な具体的なアクションを短時間で考え、実行に移すことができます。
3.
アクションの優先順位をつけやすい
問題や課題の原因や影響を明らかにすることで、どの要素に対してアクションを取るべきかを判断しやすくします。
アクションの効果やコスト、実行可能性などを評価してアクションの優先順位を決めるので、効率的かつ効果的なアクションプランの策定につながります。
ロジックツリーには主に以下の4つの種類があります。
1.Whyツリー
2.How ツリー
3.What ツリー
4.KPIツリー
それぞれについて解説します。
1.
Whyツリー:原因追求
原因追究型のロジックツリーです。問題の原因を「なぜ?」と問い続け、最終的に根本的な原因を特定することを目的としています。
問題の原因が不明なときに根本的な原因を特定する場合に使われます。
作成手順は以下となります。
1.問題を明確にする
2.問題の原因を「なぜ?」と問い続ける
3.原因が複数ある場合は、原因ごとにツリーを作成
4.ツリーの根元に、問題の根本的な原因を記載
2.
How ツリー:問題解決
問題解決型のロジックツリーです。問題の原因を特定したうえで、解決に導くための対策を検討することを目的としています。
特定された原因を解決するための対策を検討する場合に使われます。
作成手順は以下となります。
1.問題の原因を特定する
2.原因を解決するための対策を洗い出す
3.対策ごとにツリーを作成
4.ツリーの根元に原因を解決するための対策を記載
3.
What ツリー:要素分解
要素分解型のロジックツリーです。ある問題の解決や目標を達成するために必要な要素を、MECEに分解することを目的としています。MECEとはMutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略で「漏れなく、ダブりなく」という意味合いで使われます。シンプルで小さな要素に分解していく時、最適な切り分け方の指針となる概念です。
問題解決や目標達成のために、必要な要素を洗い出したい場合に使われます。
1.問題や目標を明確にする
2.問題の解決や目標を達成するために必要な要素を洗い出す
3.要素ごとにツリーを作成
4.ツリーの根元に、問題や目標を記載
KPIツリー
目標達成度を測定するための指標(KPI)を、因果関係を明確にしながら整理したロジックツリーです。
目標達成度を測定するためのKPIを設定したい場合やKPI間の因果関係を明確にしたい場合に使われます。
1.目標を明確にする
2.目標を達成するためのKPIを設定
3.KPI間の因果関係を整理
4.ツリーの根元に、目標(KGI)を記載
ここではロジックツリーの作り方を初心者でもわかりやすく3ステップで解説します。
STEP1:テーマを決める
STEP2:MECEを中心に考える
STEP3:結果を分析してアクションにつなげる
STEP1
テーマを決める
まずは全体のテーマや分析の目的を定めます。これをイシューと呼びます。イシューは「何が問題なのか、今検討すべきことは何か?」を表します。イシューを正しく立てることが、分析の成否を決めるといっても過言ではありません。 自分で思いついたテーマや上司や顧客から与えられたテーマに対して、背景には何があるのかを考えることが大切です。
イシューを立てることにより視野を高く持つことができます。「視野を高く持つこと=鳥の目になること」はイシューを正しくつかむポイントになります。
STEP2
MECEを中心に考える
次に、イシューを構成する要素をMECEに書き出します。MECEとは「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の略で、「漏れなく、ダブりなく」と訳されます。MECEに書き出すことで、分析の対象範囲を明確にして漏れやダブリを防げます。
MECEに書き出す方法は掛け算・足し算の要領で見ることができます。例えば、ある製品の売上は単価と一定期間の販売個数の掛け算で全体の売上は各製品の売上の足し算と考えると漏れもダブリもありません。更に各要素を分解できないかと考えてみます。上述の例でいえば「一定期間の販売個数」は「一人当たりの平均購入個数×購入者数」と分解できますが、購入者数は「性別」「年齢層」「エリア」「時間帯」などに分解することも可能です。
構成要素は極限まで分解することがポイントです。
STEP3
結果を分析してアクションにつなげる
各要素を徹底的に分析してイシューに対して最も影響力のある要素を特定します。要素同士の比較から高低や変動の大きさなどを浮き彫りにして各要素の数字に意味を与えます。 影響力の大きい要素が明らかになれば、その要素が生じた理由をWhyツリーで徹底的に分析します。
Whyツリーで原因を特定してHowツリーを活用して改善方法を分析します。
分析結果から影響の大きさや難易度などを定量的・定性的な観点から評価して改善のための優先順位を着実に決定します。
優先順位が決定したらアクションに繋げましょう。
ここではロジックツリー作成時に注意するべき以下の5つのポイントについて解説します。
1.問題の定義を明確にする
2.迷ったら仮説思考を持つ
3.右端が行動になるまで分解する
4.要素同士の関係に注目する
5.同じ階層の要因は同列に揃える
1.
問題の定義を明確にする
ロジックツリーは問題を解決するための思考の流れを図式化したものです。
問題の定義を明確にするためには問題の原因、目標、スコープ、制約条件などを整理する必要があります。
問題の定義が曖昧だとロジックツリーも不明瞭になります。
例えば、ある会社が「売上を上げたい」という問題をロジックツリーで解決を試みたとします。しかし売上を上げたいというだけでは具体的な条件や目標が不明確です。
・どのくらい上げたいのか?
・どの期間であげたいのか?
・どの商品やサービスの売上を上げたいのか?
・どの市場や顧客層に向けて売上を上げたいのか?
このような問題の定義が曖昧だとロジックツリーも不明瞭になります。
2.
迷ったら仮説思考を持つ
ロジックツリーを作成する際には仮説思考という手法が有効です。仮設思考とは思考を効率化する方法で、問題の原因や解決策を仮定して検証します。
例えば、ある会社が「顧客満足度を向上させたい」という問題をロジックツリーで解決する場合、問題に様々な要因が関係しており、どの要因に着目すべきか迷ってしまうかもしれません。このとき仮説思考を持つことでロジックツリーの枝分かれをスムーズに進めることができます。
以下のような仮説思考を持つことができます。
仮説1:顧客満足度は製品の品質や価格、サービスの対応やスピード、ブランドのイメージなどに影響される。
仮説2:顧客満足度を向上させるには製品の品質や価格を改善する、サービスの対応やスピードを向上する、ブランドのイメージを強化するなどの施策が必要である。
仮説3:製品の品質や価格を改善するには製品開発や生産プロセスの改善、コスト削減や価格戦略の見直し、品質管理や顧客フィードバックの活用などの取り組みが必要である。
仮説4:サービスの対応やスピードを向上するには顧客ニーズの把握や分析、顧客サービスの体制や教育、オンラインやオフラインのチャネルの充実などの取り組みが必要である。
仮説5:ブランドのイメージを強化するには広告やPRの展開、ソーシャルメディアや口コミの活用、コラボレーションやイベントの企画などの取り組みが必要である。
上記の仮説から「製品の品質や価格を改善する」「サービスの対応やスピードを向上する」「ブランドのイメージを強化する」といったツリーの要素が浮かび上がってきます。
3.
右端が行動になるまで分解する
ロジックツリーは問題を解決するための具体的な行動につながることが重要です。右端が行動になるまで分解することで、ロジックツリーが実行可能な計画になります。
抽象度を下げ、問題解決に向けた具体的な行動になるまで分解するためには、MECEの原則に従うことを意識しましょう。
4.
要素同士の関係に注目する
ロジックツリーとは問題解決や意思決定を行う際に、問題や課題を要素に分解し関係性を整理した図表です。作成する際には、包有関係と因果関係を意識することが重要です。
包有関係
要素分解ツリーにおいて左の要素が右の要素の合計となっている関係性です。
例えば、「売上を上げる」という目標を達成するために「新規顧客を獲得する」「既存顧客の売上を上げる」という2つの要素に分解する場合、「新規顧客を獲得する」と「既存顧客の売上を上げる」の合計が「売上を上げる」と等しい必要があります。
因果関係
WhyツリーやHowツリーにおいて左の要素が右の要素の原因となっている関係性です。
例えば、「売上が下がった」という問題を分析するために「競合他社の参入」と「新商品の不振」という2つの原因を特定した場合は「競合他社の参入」と「新商品の不振」が「売上が下がった」という結果を引き起こしている必要があります。
包有関係と因果関係が正しく整理されていないロジックツリーは、正確な分析や判断を行うことができず問題解決や意思決定に役立てることができません。そのため包有関係と因果関係を意識して要素間の整合性を確認することが重要です。
5.
同じ階層の要因は同列に揃える
ロジックツリーでは同じ階層の要因を同列に揃える必要があります。
これは同じ階層にある要因を比較検討する際、要因が同列化されていないと比較検討の対象とならないためです。
例えば、「売上を上げる」という目標を達成するために「新規顧客を獲得する」「既存顧客の売上を上げる」という2つの要素へ分解した場合に「新規顧客を獲得する」と「既存顧客の売上を上げる」はどちらも「売上を上げる」という目標に貢献する要素であるため、同じ階層に配置する必要があります。
もし「新規顧客を獲得する」を「売上を上げる」の下位要素として配置した場合、「既存顧客の売上を上げる」は「売上を上げる」の目標に直接貢献する要素ではなくなります。そのため「既存顧客の売上を上げる」を比較検討の対象とすることができず問題解決や意思決定に役立てることができません。
ロジックツリーは階層ごとに具体的要因を掘り下げることによって、問題の全体像を共有して論点のズレを見つけやすくなります。同じ階層の要因が同列化されていない場合、論点が曖昧になり問題の全体像を正しく理解することができず、論点のズレを見つけることが難しくなります。
株式会社アイデアプラスでのケース
弊社が課題解決を提案した印刷会社(S社)の例を紹介します。
S社は新型コロナウイルスの影響で、売上が落ち込んでいるという課題を抱えていました。
どの業界、企業でも新型コロナウイルスの影響は色濃く受けていることから、ロジックツリーを活用し、新型コロナウイルスの影響以外に考えられる根本的な原因を把握することで、他社と差別化しながら、包括的に解決できる方法がないかを探ることにしました。
S社が扱う印刷物は、新型コロナウイルスの影響だけでなく、様々な理由から使われること自体が減り、WEB上で閲覧できるものへとどんどん移行しているという背景がありました。また、ターゲットとしている20~30代にはあまりなじみが無く、自由度の高いWEB商品の需要が高くなっている傾向も明らかでした。
これらの要素から商品のDX化を提案し、今の時代に即したシステム開発を現在推進中です。
ロジックツリーを用いることで、目の前に見えている課題だけでなく、ターゲットや世情などの動きを踏まえて、全体的に課題を捉えることができるので、短期的な施策に走ることなく、長期的且つ効率的に施策を進めることが可能になります。
プレゼントを考えるケース
下の画像は奥さんへのプレゼントを何にするかを考えた時のロジックツリーです。左は抽象的な要素で始まり、右へ行くほど具体的な要素になります。
このロジックツリーでは、奥さんの趣味・嗜好や、実用性、体験を軸にプレゼントのジャンルを分類しています。
趣味・嗜好
奥さんの趣味や嗜好に合わせたプレゼントは喜んでもらえる可能性が高いです。財布やバッグなどのファッション小物、美顔器やマッサージ器などの美容・健康グッズ、本や音楽などの趣味関連のアイテムなどがおすすめです。
実用品
家事や美容、健康をサポートしてくれる実用的なプレゼントも喜ばれます。家電やキッチン用品、インテリアなどがおすすめです。
体験
一緒に旅行へ行く、美味しい食事をする、特別なイベントに参加をする体験型のプレゼントもおすすめです。
売り上げ増加を目指すケース
ロジックツリーを作成する時は以下の点に注意しましょう。
思い通りにならない可能性がある
新しいことには向いていない
的外れな結論に至る可能性がある
それぞれ解説します。
思い通りにならない可能性がある
問題の分析にWhatツリーを使うと、全く的外れな結果となることはあまりありませんが、原因を分析するWhyツリーや解決策を導き出すHowツリーを使う場合は、仮説を元に要素を決定する「仮説思考」に沿ってツリーを作成します。そのため有効な仮説が立てられていない、仮説自体が間違っていた場合は思い通りの結果が出ない可能性もあります。
最初から間違っているかもしれないと言う前提でトライアンドエラーを繰り返すことを前提にするとよいでしょう。
新しいことには向いていない
ロジックツリーは既存の状況を要素に分解する手法であり、問題解決においては糸口を見つけるのに非常に役立ちます。
しかし新しいアイデアや創造的な発想を生み出す際は十分な手法とはいえません。
新しいアイデアや発想を生み出すためには物事の視点を逆転させる、異なる要素を組み合わせる、配置を変える、用途やサイズを変更するなど、より柔軟で創造的な思考が求められます。
的外れな結論に至る可能性がある
ロジックツリーは問題の原因や解決策を探る際に役立つツールです。しかし分析の順序を間違えると的外れな結論に至る可能性があります。特に「なぜ?」や「どうやって?」からスタートすると、原因や解決策の候補が膨らみすぎて全体像が見えにくくなる場合があります。
まずは事実を把握して、問題の全体像を明らかにすることが重要です。
以下の順番を意識して作成をしてください。
1.事実の把握
まず、問題の現状を正確に把握することが重要です。そのためには「何が、いつ、どこで起こっているのか」といった事実を収集します。
2.原因の分析
事実を把握した上で問題の原因を分析します。この際、「なぜ?」と問いかけながら原因を掘り下げていきます。
3.解決策の検討
分析結果をもとに解決策を検討します。この際、「どうやって?」と問いかけながら解決策を具体的に考えていきます。
ここでは以下のよくある質問について解説します。
ロジックツリーはどんな時に使用するか?
ロジックツリーを作成するメリットは?
ロジックツリーの弱点は何か?
ロジックツリーはどんな時に使用するか?
以下の種類のロジックツリーではそれぞれの問題解決に対して使われます。
・Whyツリー:問題の原因が不明で問題の根本的な原因を解決したい時
・How ツリー:特定した原因を解決するための対策を検討したい時
・What ツリー:問題解決や目標を達成するために必要な要素を洗い出したい時
・KPIツリー:目標達成度を測定するためのKPIを設定したい時やKPI間の因果関係を明確にしたい時
ロジックツリーを作成するメリットは?
ロジックツリーを作成すると、課題を大きな項目から小さな項目へと分解しながら階層化して図に落とし込むことができるので、全体像を把握しやすくなります。
代表的なメリットは以下の3つです。
チーム内で課題を共有しやすくなる
・課題の明確な定義、要素を分解して整理することで、チームメンバーで共通の認識を持ちやすくなります。
・ロジックツリーは視覚的に表現されるため、言葉だけでは伝わりにくい思考の流れやロジックがわかりやすくなります。
根本的な課題を特定しやすくなる
・問題を構造的に分析することで、表面的な現象ではなく根本的な原因を特定しやすくなります。
・特定した原因から解決策を導くので、具体的なアクションを考えやすくなります。
アクションの優先順位をつけやすくなる
・問題の原因や影響を明らかにすることで、どの要素に対してアクションをとるべきかを判断しやすくなります。
・効果やコスト、実行可能性などを評価することで、アクションの優先順位を決めやすくなります。
ロジックツリーの弱点は何か?
ロジックツリーは、既存の状況を分解してその構造や関係を理解するための手法です。問題解決においては問題の原因や影響などの把握に役立ちます。しかし新しいアイデアや創造的な発想を生み出す際には、既存の状況を前提とした思考にとどまってしまい限界があります。
物事の視点を逆転させる、異なる要素を組み合わせる、配置を変える、用途やサイズを変更するなど、柔軟で創造的な思考が求められるため、ロジックツリーの利用が適さない場合があります。
ロジックツリーは問題解決や分析に役立つ強力なツールであり、論理的な思考を整理して効率的に解決策を見つける手助けとなります。基本的な考え方や作り方を理解して適切に活用することで、チームでのコミュニケーションの向上や根本的な原因の特定、効果的なアクションプランを策定することが可能です。ロジックツリーを使って論理的に思考して問題に取り組むことで、より効果的かつ効率的な結果を得ることが期待できます。
弊社、株式会社アイデアプラスはお客様が抱える課題を考えクリエイティブの力で課題解決、一緒に目標達成まで伴走致します。
お困りの際は、ぜひ株式会社アイデアプラスにお気軽にご相談ください。
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花澤 桃子
ディレクター
千葉県出身。専門学校卒業後に都内ホテルにてウエディングプランナーとして従事した後、
スクールにてWEBデザインを上流工程から学ぶ。その後、ディレクターとしてアイデアプラスに入社。
現在はWEBサイトやチラシ、パンフレットなどの販促物を中心にディレクションを担当。