営業DXはなぜ必要?導入の方法・メリットと成功・失敗の原因を解説! - アイデアコンパス

営業DXはなぜ必要?導入の方法・メリットと成功・失敗の原因を解説!営業DXはなぜ必要?導入の方法・メリットと成功・失敗の原因を解説!

営業DXはなぜ必要?導入の方法・メリットと成功・失敗の原因を解説!

本記事の著者
長谷川 歩楽 ( ファシリテーター )
長谷川歩楽 (ファシリテーター)
営業DXで
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営業DXはなぜ必要?導入の方法・メリットと成功・失敗の原因を解説!
営業DXとは、デジタル技術やデータを活用して、営業活動の効率化や最適化を図ることです。しかし、なぜ営業DXが必要なのでしょうか?どのようなメリットがあるのでしょうか?
本記事では営業DXのメリットや導入方法、活用する上でのポイント、注意点などを詳しく解説します。

営業DXとは

営業DXとは、営業活動においてITの力を借りて、顧客の購買行動、接点を最適化することです。
従来の営業活動は、営業担当者が顧客に直接訪問したり、電話やメールでアプローチして、顧客のニーズをヒアリングし、商品やサービスを提案するというものでした。しかし、近年では顧客の購買行動が変化し、インターネットやSNSを活用して情報収集や比較検討する顧客が増えています。このような変化に対応するために、営業活動をデジタル化・効率化する取り組みが求められています。これらの取り組みにより、営業担当者は顧客の購買行動をリアルタイムで把握し、顧客のニーズに応じた最適なタイミングでアプローチすることが可能になります。また、営業プロセスを効率化することで、営業の成果を向上させることができます。
営業DXの目的は、顧客の購買行動を理解し、顧客のニーズに応じた営業活動を行うことで、顧客満足度の向上と売上の拡大を実現することです

デジタル化との違い

営業DXとデジタル化は、どちらもデータやデジタル技術を活用して営業活動を変革する取り組みですが、その目的や対象が異なります。
デジタル化は、アナログのものをデジタルに置き換えることです。その目的は、業務の効率化やコスト削減などです。
営業DXは、データとデジタル技術を活用して、営業プロセス・営業活動を効率化し、営業戦略を見直すことです。その目的は、営業活動の質と効率を向上させ、企業の競争力を高めることです。
営業DXは、デジタル化をベースとした取り組みですが、デジタル化を単なる効率化やコスト削減に留めることなく、営業活動の質と効率を向上させることを目的としています
それぞれの違いは下記の通りです。

営業DX デジタル化
目的 営業活動の質と効率の向上 業務の効率化やコスト削減
対象 営業プロセス・営業活動 アナログの業務
方法 データとデジタル技術の活用 デジタル化ツールの導入
効果 顧客満足度の向上、売上増加、営業コストの削減 業務効率化、コスト削減

営業DXが必要な理由

営業DXが必要な理由は、まず、BCP(事業継続計画)や生産性向上といった要因が挙げられます。特に日本は天災の多い国であり、大規模な災害は生活とビジネスに大きな影響を及ぼします。また、新型コロナウイルス感染症の影響下では、リモートワークへの適応が急速に進む中、ITツールの導入や労務の変更が求められました。営業DXを実現した企業は、変化に対応しやすく、事業の持続性を高めるメリットがあります。

また、労働力の減少が進む中で、生産性向上がますます重要となっています。業務の効率化により、少ないリソースで多くの業務を処理できるようになれば、競争力を維持しやすくなります。営業DXは、これらの変化に対応する力を高める手段として役立ちます。

変化は避けられないものであり、過去にも通信手段やデバイスの変化が生活とビジネスに影響を与えました。
これからも変化が続く中、顧客情報をCRM(Customer Relationship Management)やSFA(Sales Force Automation)といった営業活動を効率化して成約率や収益向上させるツールやサービスに記録し、情報共有・連携を強化することが重要です。さらに、MA(Marketing Automation)を活用して顧客管理や購買分析を行い、変化の兆候を見極め、マーケティング戦略を適切に調整する仕組みを整えることが求められます。

営業DXのメリット

営業DXには多くのメリットがありますが、その中でも特に重要な3つをご紹介します。

 ・営業活動が効率化する
 ・業務がわかりやすくなる
 ・顧客に向き合う時間を作れる

営業活動が効率化する

営業活動の基本は、潜在的な顧客を見つけ出し、効果的にアプローチすることです。しかし、このプロセスには多くの時間と労力がかかります。
DXの進化と浸透により、営業プロセスは大きく変わりつつあります。見込み客の特定からアプローチまでの手間が大幅に減り、効率化が実現できるようになっています。
この効率化は、営業活動の質の向上や、営業担当者の負担軽減につながります。また、企業全体の生産性向上にも貢献します。
DXを活用した営業効率化は、企業にとって大きな意義を持つと言えるでしょう。

業務がわかりやすくなる

業務を個人のスキルに依存せず、標準として同じ方法で行えるようにするために、DX化の推進時に今までの業務を整理し、ルールや手順を明確にする必要があります。
このプロセスを通じて、個人に依存していた業務を統一的なやり方に整える基盤を築くことができます
デジタル化を進める際には、業務プロセスを整理し、ルールや手順をマニュアル化し共有することで、これまで個別のスキルに頼っていた部分を標準的な方法で実行できるようになると理解しておきましょう。

顧客に向き合う時間を作れる

営業DXの本質的な目的は、単なるオンライン化やデータ活用にとどまりません。その取り組みを通じて、顧客の本質的な課題に真剣に向き合い、解決できる組織を築くことにあります。営業活動をオンラインにシフトさせ、データを活用して効率性を高めることは、確かに事務的な生産性向上に貢献しますが、これだけではただのデジタル化の一環に過ぎません。デジタル化の結果として、生産性を向上させつつ、顧客の根本的な問題に真摯に取り組む時間を確保できることが、最も重要なメリットと言えます。

カテゴリー別|営業DXの7つの方法

営業DXを進めるには、まず営業活動を7つのカテゴリに分けて考えることが有効です。それぞれのカテゴリでどのようなデジタル技術を活用できるかを考えて、自社の営業活動に最適なDXを実現しましょう。

営業促進・加速

営業活動を効率化し、成約率や収益を向上させるためのツールやサービスです。デジタルテクノロジーを活用して、リードの発見顧客の獲得売上の増加などを迅速かつ効果的に達成します。例えば、SFA(Sales Force Automation)やCRM(Customer Relationship Management)などがあります。

カスタマーサポート

顧客の問い合わせやクレーム、アフターサービスなどをデジタルで対応するツールやサービスです。デジタルテクノロジーを活用して、オムニチャネルサポート自動応答システム顧客データの活用などが含まれます。例えば、チャットボットやAIコールセンターなどがあります。インバウンドセールス効率化のためのインサイドセールスシステムなども含まれます。

インテリジェンス・解析

インテリジェンスと解析は、データを収集し、それを分析することで、営業活動に関する有用な情報を得るプロセスです。これにより、データに基づいた意思決定が可能になり、市場の動向や競合情報を利用してビジネス戦略を最適化できます。具体的な例として、マーケティング自動化(MA)ビジネスインテリジェンス(BI)などがあります。MAはマーケティングプロセスを効率化し、BIはデータから洞察を引き出すためのツールです。

顧客関係管理

顧客との関係性を見える化し、関係をさらに構築・維持するツールやサービスです。例えば、顧客関係管理(CRM)(Customer Relationship Management)などがあります。CRMは、企業が顧客との関係を構築、維持し、強化するためのプロセスとテクノロジーです。デジタルCRMプラットフォームを使用して、顧客データの収集、セグメンテーション、パーソナライズされたコミュニケーションを実現します。

顧客体験

顧客体験は、顧客が製品やサービスを利用する際の付加価値を持った満足度感動体験を指します。デジタル技術は、使いやすいウェブサイト、アプリケーション、カスタマイズされたサービスを提供するのに役立ち、顧客体験を向上します。例えば、AR(Augmented Reality)やVR(Virtual Reality)などの疑似体験技術があります。

コンタクト・コミュニケーション

コンタクト・コミュニケーションは、企業が顧客やインバウンドとコミュニケーションを取るための方法とツールを指します。デジタルチャネル(電子メール、ソーシャルメディアなど)を活用して、効果的なコミュニケーションを確立し、カスタマーエンゲージメントを向上させます。Web会議システムなどもここに含まれます。

人材開発・コーチング

営業チームのスキルと能力を向上させるためにデジタルトレーニングやコーチングを提供することを指します。デジタル技術を活用して、従業員のスキル向上モチベーションの向上に焦点を当てます。これにより、営業チームは新しいデジタルツールやテクニックを習得し、効果的な顧客対応と成果を達成できるようになります。例えば、eラーニングやAIコーチングなどがあります。

プロセス別|営業DXの3つの方法

ここでは営業DXの方法をプロセスに沿って解説します。

 リード獲得のDX
 リード育成のDX
 営業管理のDX

リード獲得のDX

従来の営業では、リード獲得は営業担当者の手作業に頼ることが多く、効率化が課題でした。営業DXを導入することで、リード獲得の自動化・効率化を実現し、より多くのリード獲得を可能にします。また、データ分析を活用することで、リード獲得のターゲティング精度を向上させ、無駄なリード獲得を削減することも可能です。さらに、マーケティングオートメーション(MA)ツールを活用することで、リード獲得のコスト削減にもつながります。
オムニチャネルリードジェネレーション
デジタルマーケティングの重要性が増し、新たなリードを獲得するためのデジタル広告、ソーシャルメディアマーケティング、コンテンツマーケティングなどの戦略が強化されます。これにより、より多くの見込み客をターゲットにリーチできます。

導入前::伝統的な方法では、通常、テレアポや飛び込みなど限られたチャネルでリードを獲得しました。
導入後:営業DXの導入により、ソーシャルメディア、ウェブ広告、検索エンジン、コンテンツマーケティング、オウンドメディアマーケティング、電子メールなど、多くのデジタルチャネルを統合的に活用でき、多角的なリード獲得が可能になります
データ駆動のリード獲得
データ分析が強化され、効果的なリード獲得戦略を最適化できます。データから収集された情報をもとに、リードの特性や好みを理解し、それに合わせたアプローチを選択することが可能となります。

導入前: 伝統的な手法に依存している場合、リード獲得はブランド認知度や市場調査に基づく可能性が比較的高くなります。
導入後: データの収集と分析が強化され、ターゲット市場や顧客セグメンテーションが精緻化されます。データ駆動のアプローチにより、より適切なリードを識別できます
自動化とAIの活用
自動化と人工知能(AI)を活用することが可能になり、リードの獲得プロセスを効率化します。例えば、ウェブサイト上でのチャットボットや自動応答システムを通じて、リードを収集し、初期情報提供を行うことができます。

導入前: リード獲得プロセスの多くは手動で処理されていました。
導入後: 営業DXは自動化とAIの導入を促進し、リードの特定、評価、および追跡を自動化できます。AIはリードスコアリングやリードの優先順位付けに役立ち、リードの質を向上させます。

リード育成のDX

営業DXでは、リード獲得後にリード育成することが重要視されています。リードナーチャリングと呼ばれるリードジェネレーション活動の結果得られた保有リードに対して、将来的な購買につなげる見込顧客育成にかかる活動が行われます。また、マーケティングオートメーションを導入することで、リードの育成を自動化することができます
パーソナライズドコミュニケーション
営業DXの導入により、リード育成プロセスはよりパーソナライズされたものになります。データと分析を活用して、リードのニーズや興味に合ったコンテンツやコミュニケーションを提供できるようになります。

導入前: 一般的なマスマーケティングメッセージが主流で、リード育成は一般的なスケジュールに基づいたものになっていました。
導入後: 営業DXにより、個別のリードのニーズと行動に基づいたパーソナライズドなコミュニケーションが可能になります。リードとの関係を深化させ、興味を維持しやすくなります
自動化されたワークフロー
営業DXはルーチン的なタスクの自動化をサポートし、セールスチームがより戦略的な活動に集中できるようにします。自動化されたフォローアップ、情報提供、スケジュール調整などが、リード育成プロセスを改善します

導入前: リード育成プロセスは手動で管理され、過程が煩雑で一貫性に欠けることがありました。
導入後: 営業DXはワークフローの自動化をサポートし、タスクの自動スケジュール設定、トリガーベースのコミュニケーション(特定のイベントやアクションが発生した際に自動的に実行されるコミュニケーション)、およびタスクの自動割り当てを実現します。これにより、リード育成のプロセスが効率化されます。
リードスコアリングの改善
リードの活動と行動をリアルタイムで追跡し、リードスコアリングを改善できます。リードの質や購買意向に合わせて、優先順位をつけてリード育成の優先度を高めることができます。

導入前: リードの質の評価は主観的か、限定的な基準に依存していたことがありました。
導入後: 営業DXにより、データ駆動のリードスコアリングを導入でき、リードの質を客観的に評価し、最も有望なリードに焦点を当てることができます

営業管理のDX

営業DXでは、営業管理においても自動化が進んでいます。営業職の技術を積極的に活かしつつ、便利なツールを導入して手間と時間を削減することが重要視されています。また、リードの質を確認するために、具体的なステップを踏むことでターゲットリードを確認することができます。
CRMの最適化
顧客関係管理(CRM)システムが強化され、データの統合とアクセスが向上します。営業担当者はリード情報にアクセスしやすくなり、リードの進捗をリアルタイムで追跡できます。

導入前: 営業活動の管理は主に手動プロセスに依存しており、顧客情報や販売活動の追跡に時間がデータのかかる上に、データの入力エラーや不正確な情報が発生しやすく、CRMシステムの価値を最大限に活用できないことがあります。
導入後: 営業DXにより、CRMシステムは自動化され、顧客情報の正確な管理が可能になります。また、チーム全体がリアルタイムでCRMデータにアクセスでき、情報の共有と連携が強化されます
データ駆動の営業戦略
データ駆動のアプローチを強化し、営業戦略の意思決定をサポートします。データ分析と予測分析により、リードの変換率や売上予測を最適化し、営業戦略を改善します

導入前: 営業戦略は経験と直感に基づいており、データに基づいた意思決定が限られています。
導入後: 営業DXにより、ビッグデータ解析と機械学習を活用して、リードの品質を向上させ、営業戦略をデータ駆動できます。
リモートコラボレーション
営業DXはリモートワークと協力を強化します。コラボレーションツールを活用することで、営業チームは地理的に分散したメンバーと連携しやすくなります。

導入前: 営業チームが地理的に分散している場合、コミュニケーションや情報共有が難しいことがあります。また、顧客対応や会議に時間を費やすため、効率性が低くなることもあります。リモートワークが増加していても、効果的なコミュニケーションツールが不足しています。
導入後: 営業DXはリモートコラボレーションを強化し、ビデオ会議、チャット、ファイル共有などのツールを統合します。地理的な制約も克服し、効率的なチーム協力が可能になります

営業DX導入の手順

近年、営業を取り巻く環境は大きく変化しており、業務の効率化や営業力の向上、顧客満足度の向上などのために、営業DXを導入する必要性を感じている方は多いと思います。しかし営業DXの必要性は理解していても、何をどうすればいいのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは営業DXを導入する流れについて、具体的な手順とポイントを解説します。

 1. 目的を明確化
 2. 業務棚卸し
 3. 課題の洗い出し
 4. 戦略策定
 5. ツール導入
 6. 効果検証

1. 目的を明確化

営業DXの導入に際して、最初に明確な目的を設定します。この目的は、DXを導入する主な理由や具体的な目標を含むものです。営業プロセスの改善、効率化、売上増加など、具体的な成果を指定しましょう。同時に、目的を共有し、関係者が一体となってDX推進に取り組むことが成功の鍵であることを認識しましょう。

2. 業務棚卸し

次に、現行の営業プロセスと業務フローを詳細に調査し、把握します。この段階では、どの部分が効率的であり、どの部分が改善の余地があるのかを理解します。営業DXでは営業プロセス全体を網羅することと客観的な視点で行うことが重要です。

3. 課題の洗い出し

業務棚卸しの結果をもとに、現行の課題と障害を洗い出します。業務プロセスのどの部分がスムーズに機能しておらず、どの部分の改善が必要かを特定します。課題を洗い出すことで、営業DXによって解決すべき問題が明確になります。考えうる課題はすべて洗い出し、その後優先順位をつけることが重要です。

4. 戦略策定

課題を特定したら、それらに対処するための戦略を策定します。目的を達成するために必要な手段や実現可能性、導入するツール、費用対効果を検討し、営業DX導入の具体的なアクションプランを立てます

5. ツール導入

DX戦略を支えるために必要なツールやテクノロジーを導入します。これにはCRMソフトウェア、自動化ツール、データ分析ツールなどが含まれる場合があります。選択するツールは、「とにかく機能が多いもの」や「とにかく安いもの」などと適当に決めず、自社の課題や目的に合わせて選定することが重要です

6. 効果検証

営業DXを実施したら、効果を検証します。「導入したら終わり」ではなく、リード獲得数、商談数、成約率、売上高、顧客満足度などの効果を定期的に検証することで、営業DXの効果を把握し、改善につなげることができます。
また、営業DXによってどのような変化があるのか、定性的な調査を行うと良いでしょう。
例えば、営業担当者の業務負担が減ったかどうか、営業プロセスが効率化されたか、営業の質が向上したかなどを調査します。
効果検証の結果、当初の想定と違うことがあれば定期的にツールを見直し、アップデートする必要があります。
例えば、営業担当者の業務負担が減っていない場合は、ツールの操作性や機能性を改善する必要があります。また、リード獲得数が増えているのに、商談数や成約率が上がらない場合は、営業プロセスを見直す必要があるかもしれません。

営業DXに成功した企業の事例

ここでは実際に営業DXを導入し、成功した企業の事例をご紹介します。

テスラ

テスラは、2019年に店舗を閉鎖してオンライン販売に完全移行し、営業DXを成功させた企業の代表例です。
従来の自動車販売は、ディーラーが顧客との接点を持ち、試乗や商談を経て販売するという流れが一般的でしたが、テスラはオンライン販売にすることで、以下の3つのメリットを実現しました。


1. 顧客ニーズに合わせた販売方式の導入
従来の自動車販売は、ディーラーを経由して行われるのが一般的でした。しかし、この方式には、以下のような課題がありました。

  ・ディーラーの利益を確保するために、車両価格が高くなりがち
  ・ディーラーの営業マンの力量によって、顧客満足度が左右される

テスラは、これらの課題を解決するために、オンライン販売に完全移行しました。これにより、車両価格を抑えることができ、顧客が納得する形で自動車を購入できるようになりました。


2. デジタル技術を活用した顧客体験の向上
テスラは、オンライン販売に伴い、以下のデジタル技術を活用して顧客体験を向上させました。

  ・360度カメラによる車両の外観・内装の確認
  ・オンラインでの試乗予約・実施
  ・チャットによるカスタマーサポート

これらのデジタル技術により、顧客は店舗に行かなくても、自宅やオフィスから自動車をじっくりと検討し、購入することができます。


3. 営業体制の見直し
テスラは、オンライン販売に完全移行したことで、営業体制を見直しました。具体的には、以下の取り組みを行っています。

  ・オンラインでの顧客対応に特化した営業チームの設置
  ・顧客のニーズを把握するためのデータ分析の強化

これらの取り組みにより、テスラはオンライン販売を成功に導くことができました。


テスラの営業DX導入は、自動車業界に大きなインパクトを与えました。今後も、デジタル技術を活用した営業DXの取り組みは、さまざまな業界で広がっていくと考えられます

富士通

富士通は2021年にインサイドセールスを担う新組織「デジタルセールス統括部」を発足させ、営業DXの実現に向けて挑戦しています。

インサイドセールスとは、電話やウェブ会議ツールなどを使って、見込み顧客にアプローチし、商談化する可能性の高い案件を対面営業担当につなぐ仕事です。インサイドセールスは、情報収集や仮説思考などのスキルが必要で、データを駆使して情報武装をします。

富士通は、インサイドセールス部隊の立ち上げにあたり、以下の3つの営業DXを導入しました。

  ・顧客情報の可視化と分析
  ・営業活動の自動化
  ・営業プロセスの標準化

これらの営業DXにより、インサイドセールス部隊は、以下の業務を効率化することに成功しました。

  ・顧客情報の収集・分析
  ・アポイントメントの取得
  ・初期検討の実施

これにより、営業職は、より価値の高い商談に集中できるようになり、業務負担が軽減されました。

富士通のインサイドセールス部隊は、既存顧客や新規顧客に関わらず、新領域の開拓に着手しています。売上高1000億円規模以上の超エンタープライズ企業をターゲットにしており、自社の製品やサービスがどう見られているか本音を汲み取り、マーケティング部や製品部などに顧客の声をフィードバックする役割も担っています。

富士通がインサイドセールス部隊を立ち上げたことで、営業職の業務は大きく変わりました。従来の営業は人海戦術でしたが、インサイドセールスとフィールドセールスがペアを組んで顧客にアプローチすることで、分業化と効率化が進みました。また、インサイドセールスは属人化を排して再現性がある型を作り、チーム全体としての効率向上を目指しました。
富士通のインサイドセールス部隊は、営業DX実現への先駆者と言えるでしょう。日本企業におけるインサイドセールス成功事例として注目されています。

NTT東日本

NTT東日本は、2015年に新規事業の立ち上げに際してインサイドセールス部門を設立しました。この部門では、営業DXを推進することで、以下の3つの取り組みを行い、インサイドセールスを成功させました。

データ分析を活用した顧客理解
インサイドセールス部門では、Webサイトのアクセスログや問い合わせ情報などのデータを分析することで、見込み顧客のニーズや状況を把握しました。また、営業担当者による顧客訪問時のヒアリング内容もデータとして蓄積し、顧客理解を深めました。これにより、顧客に最適な提案を行うことができるようになりました。


PDCAサイクルによる継続的な改善
インサイドセールス部門では、データ分析の結果をもとに、商談プロセスや営業資料を継続的に改善しました。また、営業担当者による商談の振り返りを実施し、成功事例や失敗事例を共有することで、営業スキルの向上を図りました。これにより、商談の成約率や受注単価を高めることができるようになりました。

■PDCAサイクルについてはこちらの記事をご覧ください。
PDCAとは?成功例と失敗例から学ぶサイクルの効率的な回し方

他の営業部門との連携
インサイドセールス部門は、フィールドセールス部門との連携を強化することで、商談の効率化と受注率の向上を図りました。フィールドセールス部門に引き渡す見込み顧客の質を高めることで、フィールドセールス担当者の工数を削減し、より多くの商談に取り組むことが可能になりました。これにより、顧客満足度や収益性を高めることができるようになりました。


これらの取り組みにより、NTT東日本は見込み顧客の数を10倍に増加させ、受注額も34倍に増加させることができました。NTT東日本のインサイドセールス部門は、営業DXの優れた事例として注目されており、インサイドセールスはBtoBセールスにおいて非常に有効な手法であることが証明されました。

インサイドセールスは、単にオンラインでの商談を行うだけでなく、訪問営業をオンライン化するだけでは十分ではありません。インサイドセールスは、データを基に見込み客のニーズや状況を把握し、最適な提案を行う方法です。そのためには、CRM/SFAの効果的な活用や組織体制の整備が欠かせません。これらも営業DXの重要な要素です。

営業DXを成功させる3つのポイント

営業DXを成功させるためには、以下の3つのポイントが重要です。

 目的を明確にする
 各部門で体制を整備する
 会社に合った営業プロセスを再構築する

それぞれ解説していきます。

1. 目的を明確にする

営業DXの成功には、まず目的を明確に定義することが不可欠です。どのような成果を得ることを目指すのか、具体的な目標やKPI(Key Performance Indicators)を設定しましょう。例えば、売上増加、効率向上、カスタマーエクスペリエンスの向上など、明確なビジョンを持つことが重要です。この目的が全てのステークホルダーに共有され、組織全体が一丸となって取り組むための指針となります

2. 各部門で体制を整備する

営業DXは、営業部門だけでなく、マーケティング部門やIT部門など、各部門の協力が不可欠です。各部門で体制を整備し、意見を出し合い、協力体制を構築することで、スムーズに導入を進めることができます。
具体的には、以下の体制を整備することが考えられます。

 ・営業DX推進チームの設置
 ・各部門の担当者の選定
 ・教育や研修の実施

営業DX推進チームは、営業DXの導入・運用を統括するチームです。各部門の担当者は、営業DXの導入・運用に携わる人材です。教育や研修の実施により、各部門の担当者が営業DXを理解し、活用できるようになります。
各部門で体制を整備し、協力体制を構築することで、営業DXをより効果的に導入・運用することができます。

3. 会社に合った営業プロセスを再構築する

営業DXを導入する際には、自社の営業プロセスを再構築する必要があります。既存の営業プロセスをそのままデジタル化しても、効果は期待できません。データ分析を活用して、顧客のニーズや課題を把握し、会社に合った営業プロセスを構築することが重要です
具体的には、以下の点に留意して、営業プロセスを再構築するとよいでしょう。

 ・顧客のニーズや課題を把握する
 ・営業プロセスの各段階でのデータ収集・活用を検討する
 ・営業プロセスの自動化・効率化を検討する

顧客のニーズや課題を把握することで、効果的な営業活動を設計することができます。また、営業プロセスの各段階でデータを収集・活用することで、顧客の反応や営業活動の効果を分析することができます。さらに、営業プロセスの自動化・効率化により、営業担当者の負担を軽減し、生産性を向上させることができます。
会社に合った営業プロセスを再構築することで、営業DXを成功に導くことができます。

営業DXに失敗する3つの原因

営業DXは、多くの企業にとって革命的な変化をもたらす可能性がある一方で実際には「ツールを導入したが使いこなせない」「思うような成果が出ない」など、失敗するケースも見られます。営業DXが失敗する原因は、大きく分けて以下の3つに分類できます。

 1. DXへの理解が足りていない
 2. ツール導入が目的になっている
 3. 営業プロセスを変えようとしていない

それぞれ解説していきます。

1. DXへの理解が足りていない

営業DXは組織全体の文化やプロセスの変革を伴う重要な取り組みです。組織内の多くの人が営業DXの本質と価値を理解していない場合、プロジェクトは困難に直面するでしょう。営業DXの目的やゴールが明確化されず、適切なツールやシステムが導入されません。また、営業DXが単なるツール導入や業務のIT化と捉えられてしまい、本質的な変革が進まないこともあります。
解決策として、組織内に営業DXへの理解を深めるための推進チームを設立することが重要です。このチームはDXのビジョンを明確にし、ステークホルダーに対してコミュニケーションを行い、営業DXプロジェクトを推進していくことで成功に導く役割を果たします。

2. ツール導入が目的になっている

ツールやシステムを導入することは手段であり、目的ではありません。単に新しいツールやテクノロジーの導入として捉えることは、失敗の原因となります。目的は業務プロセスの改善や効率化、顧客体験の向上など、ビジネスに対する価値の創出です。ツール導入後も、それを効果的に活用し、変革を続けることが重要です。目標が曖昧にならないようにして、ツール導入だけで完了と考えないようにしましょう。

3. 営業プロセスを変えようとしていない

営業DXでは、単にツールを導入するだけではなく、営業プロセスや組織文化も変革する必要があります。営業プロセスを変えようとしないと、デジタル化した部分とそうでない部分のギャップが生じる、データの活用や分析ができない、チームワークやコミュニケーションが阻害される、といった恐れがあります。
営業DXを成功させるためには、DXへの理解を深め、ツール導入を目的とせず、営業プロセスを変える必要があることを認識することが重要です。

よくある質問

ここでは営業DXについてよくある質問を解説をします。

DXとはどういう意味か?

DXとは、Digital Transformationの略で、デジタル技術を活用して、企業のビジネスモデルや組織、業務プロセスを変革することです。DXによって、顧客の購買行動、接点を最適化し、顧客体験や業務効率を向上させ、競争優位性を確立・強化できます

DXはなぜ必要なのか?

DXが必要な理由は、大きく分けて以下の4つです。

競争力の強化
業務効率化や新サービスの創出などにより、競争力を強化することができます。デジタル化を進めることにより、顧客のニーズをより迅速かつ的確に把握し、それに応じた対応が可能になります。また、新たなビジネスモデルの創出や既存ビジネスの改善にもつながります。

生産性向上とコスト削減
業務の自動化や効率化を図ることができ、生産性向上とコスト削減につながります。例えば、紙の書類を電子化することで、印刷や保管にかかるコストを削減することができます。また、AIやRPAを活用することで、単純作業の自動化や業務の効率化を図ることができます。

働き方改革の推進
テレワークや在宅勤務など、柔軟な働き方の実現が可能になります。また、AIやチャットボットなどの活用により、従業員の業務負担が軽減し、生産性向上とワークライフバランスの向上につながります。

レガシーシステムからの脱却
DXを推進することで、古くなったレガシーシステムからの脱却が可能になります。レガシーシステムは、セキュリティや運用コストなどの課題を抱えていることが多いため、DXを推進する際には、レガシーシステムからの脱却も検討する必要があります。

DXは、企業の競争力強化や生産性向上、働き方改革の推進など、さまざまなメリットをもたらす取り組みです。今後もデジタル化が進むなかで、DXの重要性はますます高まっていくと考えられます。

まとめ

営業DXは、企業の競争力強化に欠かせない取り組みです。営業DXを導入することで、営業プロセスの効率化・高度化、生産性向上を図ることができます。企業にとって大きな投資となるかもしれませんが、成功すればさまざまなメリットを得ることができます。
営業DXを成功させるためには、各部門の担当者の理解と協力、経営層のコミットメント、効果検証と改善が重要です。

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長谷川歩楽 ファシリテーター

長谷川 歩楽 ファシリテーター

愛知県出身。工業系の大学院時代に学生起業として組織を設立。地元の中小企業から大手企業まで様々な規模/業種の企業の中で新事業開発や商品開発のファシリテーションを担当。 その後、アイデアプラスでも産官学連携の共同研究の場や製造/飲食業界などでのファシリテーションを行う。

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